ロバ では★トピ2 見えてきた義昭の本性
初芝 今回の義昭といえば、トンボを地面に捨てるあの冷たい表情ですよ……
ロバ 摂津も信長も朝倉も浅井もみんな思うように行かないから、不貞腐れて駒のとこに泣きつきにいったシーンね。
犬さん 二人のシーンで、義昭「昔、十兵衛を好きだったのか?」、駒「はい」みたいなあのやり取り、キモチ悪かった~!
初芝 え、駒のあの好きはやっぱりそういう好きなんですか? しかも「好きだった」ってのはもう今は好きじゃないってことなんですか? 何がしたいんですか、この人?(ここまでひと息)
ロバ 駒もなに元カノ面してんの? 光秀くんには何の感情もないと思うよ。
犬さん 義昭は、「光秀は他の者と違って、余の耳に痛いことも諫言するから好き」とか言ってたけど、その最たる者が信長じゃろが~い! なんで信長には素直に心開かんのじゃーい! って感じた
ロバ ここ数回で義昭株を無理やり下げに来てるのかってくらい、歪でしたね。
犬さん 今回も摂津鶴チャン、略して摂鶴チャンに比叡山の覚恕と密談させたり悪役を託してたけど、本当は武田信玄を「信長包囲網」の一角に誘い込むのは、義昭だからね
ロバ 史実の義昭って結構悪いというか策士って印象強いっすけど、今作は全部その辺、摂津が糸引いてる風ですもんね。
初芝 義昭は史実だとお手紙送りまくってますからね
ロバ あまりにあちこちに御内書を送りまくるから、信長から「そういうのやめろ」って言われてたりするのが史実の義昭。
犬さん 摂鶴チャンだけが悪で、義昭は悪くないって演出のままだと、視聴者は混乱するばかりだよ。もうそろそろ軌道修正してくれないと。そういう意味で、虫を小道具にしてきて、今回は冷たく庭に死骸を捨てるとか、描き方を変えて来てなあとは感じたけど
ロバ 思えば義昭は登場時から虫の例えを多用してきたので、ここにきて一気に印象変えのギミックにしてきましたね。
初芝 当初の義昭は蝶の羽を運ぶアリに自分を重ね、「将軍という大きな羽は1人では運べない」って語ってたのにねえ
犬さん そんな殊勝さはもう忘れてしまったってことだろうね。このまま早いとこ、信長を窮地に追い込むほどの「おてまみ将軍」として描き直して、義昭に真の輝きを与えてほしいよw
ロバ 今じゃただの拗らせ好色男だからなぁ。
初芝 最近は何かしらに声を荒げがちですしねw
ロバ 嫌なことあるとすぐ女に逃げるって、男としてサイテーだからね! プンスカ! もう少しかっこいい将軍としてライバルの信長と渡り合ってもらいたい。って信長も帰蝶に褒めてもらいたいマンじゃん。じゃ両方しょぼいからお似合いなの? ってことになっちゃうよ!
犬さん それもあるよね! 最近不満なのは、信長の描き方よ。今回も「尾張や美濃の民は褒めてくれる~。帰蝶には笑われるか~」(語尾伸ばし)とか言わせて、承認欲求の塊みたいな感じだったじゃない? あれは信長を矮小化してるよ。やめてほしい
初芝 最初はそういう描き方も新鮮かな、とは思いましたけど、どこまでそれを引き摺るんですかね?
ロバ とりあえず信長ファンは怒っていいと思う。あまりといえばあまりだよ?
犬さん マジメな話、四方八方に歴戦の戦国大名の敵たちを抱えて、なおそれらを討ち破り、領土を拡張する原動力が、他者に承認されたいってんじゃ弱すぎでしょ。せっかくお天道サマの話を出したんだから、いっそ、お天道サマに褒められる武将でありたい、に切り替えればよかったのに
ロバ 帝かっこいいのに、囲碁打ってるだけでかっこいいのに。
初芝 帝はお美しいですねぇ
犬さん 玉三郎、美しかったねえ
ロバ でもコレこんなに帝かっこいいと、ますます信長を討つ光秀の動悸が読めなくなってきた。
犬さん 心臓バクバクでどーするw
ロバ 動機、の間違いでした。
犬さん それにこのままだと信長の大きさも問題になってくるかもよ? 強大な悪役であるはずの義昭がショボいから、最近の信長も引き立たぬよ。そんな信長を最後に討つのが光秀なんだから、やっぱ信長には第六天魔王くらいのスケールになってもらわんと
初芝 それは確かに〜! このままではドラマが尻すぼみしちゃいますね……
ロバ そうなんすよ、幕府を中心にするにしてもこのままだと義昭激しょぼいし、信長も承認欲求マンとだけ描かれるとちょっとしょぼい。それを討つ光秀も本能寺もしょぼくなっちゃいそうで心配。
初芝 重厚なのは、松永さんと覚恕だけ? 玉三郎さんもそうなのですが、今回(いやいつも思うけど!)それらの方々は演技が凄かったですよね〜! あの熱量はものすごく尊敬!
ロバ というわけで★トピ3 名優たちの“魅せる芝居”を堪能♪
犬さん 今回は特に見入ってしまったね、それぞれの演技に!
ロバ 俺は今回のMVPは小朝さんの覚恕様かなぁ。やっぱ噺家の一人台詞は最高だったなぁ
初芝 初芝の推しは吉田鋼太郎さんです。飛沫も飛び散るブチギレ!
ロバ 飛沫はやめてw!
犬さん 正親町玉三郎さんの神々しさも、小朝のラスボス感も、松永鋼太郎シェークスピアもスゴかったけど、まずオレが語りたいのはユースケの朝倉義景ね! この武将が登場人物になること自体が少ないけど、今回の冒頭で光秀が山崎家老を訪ねてユースケと昔語りしたじゃない?
ロバ 昔、美濃を追われた若侍が……ってね。よかったですねぇ
犬さん そう、そのセリフ! いろいろ不満もあるけど、ああいうシーンを入れてくるところに、このドラマの制作陣の狙いや良さを感じるのよね。「その若侍は恩返しということを~~」と言いかけたところで、まさに光秀が「今こそその恩を返そうと、ここに参りました」って答える
ロバ あのやりとりとその合間の岡村さんにいくカメラワークも含めてあそこら辺は最高の瞬間でしたよ。
初芝 あのシーンのピリリ感はたまらなかったですね!
犬さん 何年も妻子の面倒を見てくれ、好き勝手に京や織田家に出かけることを許してくれた朝倉に、光秀はなんの恩義も感じていないのかって、ここでも何度か語ったけど、ついに恩返ししたっ! 何度も何度も立ち去ろうとするユースケに粘って語りかけ、ついに比叡山のボスとの面会を仲立ちしてもらう。その結果、一時的とはいえ朝倉軍は戦場から越前に帰れたんだし、ユースケ義景の寿命もちょっと延びた
ロバ 最大の恩返しだし、無駄な戦をすべきでないって光秀の主軸もぶれませんし、あそこら辺はベストでしたね。
犬さん なにより自然体のユースケの演技がミョ~によかったw ああ、朝倉義景ってホントにこんな雰囲気だったのかもって。それでいて目つきは鋭く、今まさに対陣している最中って緊迫感も出てた!
ロバ 妙な説得力ありましたね。どこまでも値踏みし続けて、ことをゆっくり詰めていく感じ。朝倉味がすごい。
初芝 あの独特な立居振る舞いはなかなかできない演技ですよね。
ロバ ユースケさんの得意なところを全面に出してた感じもあり、その辺はキャスティングの妙でもありますね。
犬さん この両者を仲介したのが、朝倉家の柱石にして良心の山崎吉家ご家老サマってのがまたイイ! 実際の芝居でも、時代劇に不慣れなユースケに山崎役の榎木孝明さんがなにくれなくアドバイスしてくれて、ユースケはすごく助かってるってコメントしてるもんね
ロバ 現場でも家老ムーブしていただけるベテランの存在は本当にありがたい。いい現場なんだなぁ
犬さん そういうのを見るあたり、まさに俳優ならではの感じ方だね。あの恩返しのシーンがすごく印象に残ってる。んで! そうして面会できた天台座主・覚恕の小朝がまたスゴい演技だった! ちょっと前にロバートは長い自分語りって言ってたけど、セリフでも光秀が割って入ろうとしたのを、「黙って聞け!」って。やっぱ噺家は演技うまいやっ
初芝 声の使い方とか圧も凄くて、あ〜〜声を自在に扱えるってこんな風に演技に活きるんだなぁって勉強になりました……!
犬さん けっこうな長ゼリフだったよね
ロバ 多分カット数的にもそれを何回も回してるから、その辺も含めて結構すごい圧のシーンでしたもんね。周りの女衆のNG出せない感の緊張感は若干伝わってきちゃったけどw
でもそれがある種の覚恕のいや〜な空気になってるので、それも含めて完璧ですよ。やっぱ春風亭一門推しにはたまらない。
犬さん 周りに侍らされてた女優陣もオレ、しっかり見てて、ちゃんと芝居に入ってる人とそーじゃない人がいたw ちゃんと芝居してる人は、小朝の「黙って聞け!」の時、ビクっとして目を大きく見開いて怯える表情に変えたり、しっかりしてたねっ
ロバ 向かって左端かな?
初芝 やっぱりそういうのって分かる人には分かっちゃいますよね〜
犬さん 4人いたうちの左から2人目だったかな。オレが演出だったら、次の大河でもあのコ使うねっw 演出の観点からいうと、今回の小朝のロールはとても難しいところだったはずなのよ。だっていきなり初登場な上にボスってだけでも難しいのに、その悪行の根源が美醜のコンプレックスなワケでしょ? 普通はそんなの納得できないじゃない、まして時代劇なんだし
ロバ そのコンプレックスの対象が玉三郎さんだから、その辺も全てわかった上で対比になるように小朝さんは狙ったと思う。役者的にはもう一番美味しい役ですから気持ちよかっただろうなぁ。難易度とかは、むしろ高い方がモチベーション上がりますからね。
初芝 あの役をきちんとモノにできて演りきった瞬間の達成感はものすごいでしょうねぇ
④へ続く