陰陽師・阿倍晴明が大好き。
  
映画で知名度上がる前から安倍晴明が好きで、京都の晴明神社や一条戻り橋へ行っていました。
  
当然、夢枕 獏氏の陰陽師は、読んでいます。そして、無駄に歴史に詳しくなりました。

 

だって、平安時代しか詳しくなぃんだもん。何の意味もありません。笑
  
大抵、一話完結になっていて読み易ぃのですが、このたび初の長編が出版されました。

晴明というよりも、晴明がただ1人、心を許した相手・源 博雅が主人公です。
  
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「陰陽師―生成り姫―」 著者 : 夢枕 獏
 
生成りとは、女性が鬼(般若)になる前段階を示します。
  
<Story>

 

いつも、晴明の屋敷で野原のような庭を眺めながら、ほろほろと酒(ささ)をたしなむ博雅。

醍醐天皇の皇子、克明親王の息子にして村上天皇の年上の甥。

高貴な血を引く殿上人であるにも関わらず、1人で徒歩(かち)で晴明の屋敷に度々やって来ては、後で

お目付け役の俊宏に叱られている。(この時代、普通、身分の高い人は、牛車で付き人を連れている)
 
そんな博雅には、12年前に想ぃをかける女性がいた。
女性も博雅に想ぃを寄せるのだが、博雅は女性の想ぃに気付くことが出来なかった。
名を聞いても答えてもらえず、やがて会うことも出来なくなり、月日は流れ‥
 
12年ぶりに再会した女性は、違う男性の心変わりのため、その男性を呪ぃ、男性の心変わり相手を殺し、

既に人間ではなくなっていた。
 
女性を救うため、様々な策を練る晴明と博雅。
晴明は、女性のため博雅のため、調伏も退治もしなぃで済む方法を模索する。
 
しかし、その思いは届かず、遂に女性は生成りに。
 
それでも女性を想う博雅。
 
「増えたそなたの皴が愛しいのだよ。付いたそなたの肉が愛しいのだよ。わたしは、鬼であるそなたが

愛しいのだよ」
 
「徳子殿、あるのだよ。泣こうが、苦しもうが、どんなに切なかろうが、どんなに焦がれようが、どれほど

想いをかけようが、戻らぬ人の心はあるのだよ」
 
それに対して女性は


「分かっております、みんな分かっております。けれど、分かっていても人は鬼になるのでございます。

憎しみや哀しみを癒すどのような法もこの人の世にない時、もはや、人は鬼になるしか術がないのです。

なりとうて鬼になるのではないのです。それしか術がない時、人は鬼になるのでございます。」


「分かっております。何もかも、承知しております。憑き物ならば落とせましょう。病であれば、治すことも

できましょう。しかし、これは憑き物ではないのです。これは、わたくしの自らが心」

 

「愚かなのはこのわたくしです。かような姿になり果てても、まだ消えませぬ。まだ、恨みが消えぬのです」
 
理を知り、博雅の想いを知るが、それでも鬼になってゆく自分を自分自身でも止めることか出来なぃ。

 

そして女性は―――――
 


哀しぃ、とても哀しぃ物語です。世の中には無常というものはなぃのだ、家も、人の心も―――と。

 

何だかまた、京都に行きたくなって来た。ぷらり、京都。どなたか一緒に行きませんか。笑