昨晩、コンビニで缶コーヒーを購入した際のこと、
会計のために財布を差し出し、小銭を出した。
ヒラッ…
そこには明らかに俺のモノであるはずのない
長い髪の毛が一本。
一体どこで紛れ込んだんだろう…
そのとき、店員と目が合った。
ヘビ柄の長財布から出て来た長い髪の毛。
持ち主は見るからに厳つい男。
女性物の甘い香水の香り…
まさしく男女の危険な情事の香り。
ニオってるな、確実にこの店員は俺から放たれた危ないニオいを感知してる。
それはおつりを俺の手に納められないほどの彼の手の震えが
証明していた。
…
彼女は蛇のような女だ。
旦那子供いるくせにしつこく俺に絡み付いてきやがる。
「退屈な生活に飽き飽きしてるの…。」
なんて無い物ねだりも甚だしい。
欲の深い女だ。
だがそんな女、俺ぁ嫌いじゃないぜ。
理性がスリルを飲み込む時代に、俺は危ない森に迷い込んでしまった。
だが、その危険な香りも彼女の魅力をかき立てる香水に過ぎない。
メデューサのようだ。
「あぁ…お前の前では石化してしまう。」
普段は積極的な攻めの姿勢の俺が、
彼女には通用しない。
彼女の意志のままに俺は踊らされる。
絡み付く長い太もも。
絡み合う二人の吐息…
そんなとき、彼女の携帯に着信が…
携帯に映し出されたのは
幸せそうな親子の笑顔。
それはまぎれもない、俺には見せない生活感。
普段は幸せな主婦を演じているのだろう…
深い罪悪感に捕われながらも、
俺には彼女を止めることはできなかった。
だって、すでに俺はそれ以上に深い彼女という森から抜け出せなくなって
しまっているのだから。
そして俺は今こうやってコンビニにきてるわけだ。
一人、缶コーヒーを片手に余韻に浸る。
彼女はきっと、何事も無かったかのように、
普段の生活の場に戻るのだろう…
そこには何も知らない二つの笑顔が待っている。
彼女の本当の姿も知らぬまま。
…おっとっと、立ち読みのし過ぎかなっ!
あ~腹へってきたな。
肉まんも追加でお願いするよっ!
髪の毛?
あぁ…母ちゃんのでも挟まってたんだろ、
俺にはそんな長い髪はえてないからなw
おつりはとっときな♪
兄ちゃん、今日もお務めご苦労さん!!
「ありがとうございました!またお越し下さいませ!!」