自作小説『箱庭の恋』…005 | bakuのブログ

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 我が家のリフォームはほぼ終わりました。生活の痕跡と言うか、衣類・食器や収納まで、その都度活躍した物たちが出てきました。中でも、収納に使っていた茶箱に宮園通り(中野区)の宛先が書かれていたのには、一頻り郷愁を感じてしまいました。

 

祖父母・父・叔母

 ひょっとしたら祖父母の高円寺、上町時代からあったものかと、古い写真と共に私の知る由の無い、昭和初期の時代に触れたような気がしました。

その四人家族の中の叔母も今年の一月に他界されました。叔母は活発な人で、車の運転も女性としてはかなり早い方で自慢の叔母さんでした。

 

               

父と叔母

 しかし、時代の香りを残す茶箱は処分することにしました。代わりではありませんが、お世話になった叔母に感謝を込めて、学生時代の父と一緒に映った写真を額にしました。ご先祖、祖父母、両親の写真棚に一緒にして、毎日お線香を手向けています。

 こうしてみると、処分下手な母の気持ちが分かりますが、私は非情の子…、なんちゃって。考えてみれば、それらの価値は私だけのもので、私が死ねば只のゴミ。そんなわけで、思い出は心の中をモットーにして、今回はかなり処分しました。

 

 それでも捨てきれないものはいくつか残るもので、例えばコーヒーサイフォンです。来年が父の三十三回忌ですから、病床の晩年を引くと三十五年以上前に活躍したものになります。

 真空管のステレオでレコード掛けながら、父自慢の珈琲を一家で楽しんだ時代物なんです。加熱用のアルコールランプの芯の焦げ。コーヒーミールの粉かすのこびれつきが、遥か遠くなった家族映像を偲ばせます。

 

  

小生の両親です

この頃には、父の失敗続きの事業欲もどうやら冷めて、再び勤め人を始めてようやく生活も安定しかけた頃でした。我が家にも再び世間並みを感じさせる珈琲の味は、明日への希望のような格別なものだったような気がします。 

 そうですね。これは小さいものだから飾り物しようと思います。私はコーヒーを一日二杯アメリカンで飲みますが、専らゴールドブレンド派です。豆を挽いた時の香りがたまらなく好きですが、ゴールドブレンドもお湯を注ぐ前に必ず匂いを嗅いでいます。結構それで満足しています。

 

   (2015金沢にて)

 

 さて物語は……

パレートの法則を借りればいつの間にか、いやしかるべくして、彼は意欲を無くす側に傾いていたという事になるのでしょうか。

 力を失う事の悲哀と同時に、歳を取るという事はこういう事か。人が組織の中で経験し大なり小なり立ちはだかる壮年の門と、康平は醒めたもう一つの目で見ている自分にも気付くのでした。

 

 

 小説『箱庭の恋』最後の通勤・期待と不安…その五      

 

                    

                  ビデオ再生時間(604秒)

 

 

 

 

 

 

 

 

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