重力が強いため、光を含めいかなるものも、そこから脱出できない面(〈事象の地平面〉と呼ぶ)が存在する天体のことですが、ブラックホールを観測したとき、光も電波もX線も出てこないので、宇宙の背景放射の中にまったくの黒い穴として見えます。
ブラックホール
ブラックホールを特徴づける第1の要素は、重力質量で、現実的に考えられるものとしては、

1.太陽の質量(2×10(3/)(3/)g)の10倍程度のブラックホール
2.太陽の質量の100万倍から1億倍程度の超大質量ブラックホール
3.10億t程度のミニブラックホール

があげられます。
この質量に応じて、ブラックホールの大きさ、すなわち事象の地平面の面積も決まり、上の3つの場合はそれぞれ、10k㎡、1000万~10億k㎡、10兆分の1c㎡程度になるそうです。

太陽の質量の10倍程度のブラックホールは、恒星の進化の最終段階として生じるそうです。
恒星は、内部の核融合反応で解放された結合エネルギーによって、重力による自身の収縮を支えています。
核融合反応が進むと、最後には融合の燃料を使い果たし、中心部は鉄の原子核になります。
この段階では、もはや恒星は自身を支えることはできず、重力のために収縮を始めるそうで、恒星の中心核の質量があまり大きくないときには、ある段階で収縮から反発に転じて星の外層が吹き飛ばされ(超新星爆発)、中心には中性子星が残るようです。

しかし恒星の質量が大きく、太陽の質量の10倍以上ある場合は、外層は吹き飛ばされることなく中心にある中性子星に向かって落下していくのだそうです。
すなわちどこまでも収縮を続けていくわけで、最終的にはブラックホールになるということです。

はくちょう座で発見された、X線星はくちょう座X-1は、このようにして生じたブラックホールだと考えられています。
質量が太陽の質量の100万~1億倍のブラックホールは、活動銀河の中心核や恒星状天体(クエーサー)をなすものと考えられています。
太陽の質量の1.4~3倍以下の小さいブラックホールの場合は、通常の重力崩壊では生まれず、宇宙初期の大きな密度のゆらぎによって生じたとしか考えられない、としています。

ブラックホールの時空構造は、理論的にはアインシュタインの一般相対性理論の基礎方程式の軸対称定常解として得られます。
これには、球対称なシュワルツシルト解、非回転で軸対称なワイル解、回転しているカー解、回転と歪みの入った冨松=佐藤解などがありますが、一般にはブラックホールと言えばカー解を指すのだそうです。