去年の暮れ、私の直属の上司にあたる先生が
「今後、大学で教員の道を目指さないか?
 大学院の試験を受けて、働きながら大学院へ通うといい。」
と言って来ました。

私は今の仕事が気に入ってます。
楽しいです。
もしかしたら自分でもむいているのかも知れないとさえ錯覚します。

だけど大学生活は自分が目指すものではありません。
なので
「ありがたい選択肢のひとつではあるけど」
というような言い方をして
あえてストレートに断ることはせず、そのかわりに
今、どんな考えでこの仕事をしているのか
今まで辿ってきた経緯だとか
今後、形の無い自分自身の将来像だとかを
どんな考えをもってやってるのかを
その先生に正直に伝えました。

その時、その先生は私の話を聞きながら
呆れるでもなく、やけに真剣に聞き入ってくれて
「なるほどね」「すごいね」とか共感してくれているようでした。
注)全然たいした話をしたわけではありません


大学の先生方はイメージ的に
型にハマっていて、狭い世界にいて・・というマイナス面もありますが
凄い勉強してるし、まじめだし、細かいし、尊敬する部分が多いです。
実際、私もいろんな事が知れて良い勉強になっています。

で、前置きが長くなったけど、今日の出来事です。

その先生が私が昼にホットケーキを食べた後、私の部屋にやって来ました。

先生
「バキコ先生に話したい事がある」

バキコ
「何ですか?」

先生
「私、○月に仕事を辞める事にした。」

バキコ
「はい?今、何て?もう一回聞いていいですか?今、何て言いました?」

突然の退職劇です。
うちの学部の核となる立場のお方です。
辞めてもらっては困ります。

バキコ
「辞めるって言ってもそう簡単に辞めさせてはくれないでしょう?
 ていうか、辞めないで下さいよ!!」

先生
「昨日の教授会で受理された。」

バキコ
「辞めるなんて、いつから考えていたんですか?」

先生
「今年に入ってすぐ決めた。」

バキコ
「そんな急にどうしたんですか?何かあったんですか?」

先生
「重荷に思わないで欲しいけど、バキコ先生と年末に話したでしょ、あれで
目からウロコが落ちた。
ああ、そうか、人間やりたい事をやるべきだと。
ここにずっといなくてもいいんだと。
別に仕事をしない期間があったっていいじゃないかと。
バキコ先生を見ていたらね、凄いなぁって刺激になっていたし
バキコ先生の影響を受けたんよね。ありがとね。」

「いえ、私は何も。・・・・しかし凄いですね、先生。」としか私はうまく言えなかった。

今まで悩んでいる人の背中を後押ししたり
足をつかんで引き止めたりした事はあったかと思うけど
こんな風に親密な仲では無い人の人生を変えるきっかけ的な存在になった事など無かったかと思う。

もちろん決断をしたのは先生なわけであり
私は責任など感じないが、
そんな事を聞いて、今は良いのか悪いのかよくわからずにいます。
ただただ驚きました。

そんな先生が私一人の姿を見て行動を起こすとは凄いです。
そしてそういうチャレンジャー精神を持った先生がこの大学にいた事が何か私は嬉しくもあるんです。
そんなキャラにはとても今まで見えなかったので、なおさら。
ともかく 凄いなって思います。

そういうワケで、今日はとても驚きました。