知人が勤める事務所の社長がある日、鵜コッケイをもらって来ました。
社長はその鵜コッケイをどうするわけでもなく
結局、知人が事務所の空いたスペース(屋外)を利用して鵜コッケイの面倒を見ていました。

知人は穏やかで心優しい人です。
動物を愛する心もさりげなくそして強く、
そんな知人は鵜コッケイ用に水浴び用のプールなども用意してあげたりして
鵜コッケイに快適事務所ライフを提供していました。

知人は鵜コッケイの事をほめていました。
「こいつらは偉いんだ。
 自分の食いぐちは自分でちゃんと稼いでいるんだよ。」

どういう事かと思ったら
卵を産むそうです。
鵜コッケイの卵は重宝され、近所のおばちゃん達が
売ってくれと来て
月に5000円近くを鵜コッケイ達は自らの体で稼いでいました。

こうなると愛情は更に深まった事でしょう。

ある日、事件が起きました。
鵜コッケイが一羽居なくなったのです。
知人はオロオロして安否を心配しています。

そこに追い討ちをかけるような知らせが舞い込んで来ます。

「あの鵜コッケイ持って帰って食べたけど、あまり美味しくなかったぞ。」

事務所に出入りする知人の顔見知りの犯行でした。

知人はその後一ヶ月強烈に落ち込んでしまったのも無理はありません。

いきさつを聞くと真犯人がすぐに判明しました。
「持って帰って食べていいぞ」
と言ったのは、鵜コッケイを最初に連れてきた知人の社長でした。


残酷な話のようですが考えてみると、誰も悪くは無い話です。