運命の日。
僕の誕生日に合わせてランの真意を確かめることにした僕は
9日の夜、遅い時間にランの店に来た。

とても懐かしい雰囲気。
店に入るのは実質1ヶ月ぶりだった。

僕は彼女が誕生日を絶対に忘れていると思っていた。
しかし店に入って店長に言われた一言。
「誕生日おめでとう」

あれ?
店長が知っているということは、もちろんランが知らないわけ
ないだろう・・・
僕は安堵と同時にネタバレが店長からだという複雑な気分だった。

でも時間はまだ9日の23時50分。
10日に変わり、一番最初にランから直接おめでとうを聞くことができた。
そして手渡されたプレゼントとローソクの刺さった1ホールの
バースデーケーキ。
チョコで書かれた僕の名前とメッセージ。

彼女はちゃんと覚えていたようだ。
そう、僕の出したチャレンジを見事クリアしたのである。
となれば、僕は何も言うことはない。
もう少しだけ彼女のことを見続けてみようと思う。


~~ つづく ~~

一月ぶりに彼女に会った。
やっぱりどのbabaeよりも彼女が一番可愛い。
師匠が僕の重い腰を引きずって彼女の店に連れてきてくれたのだ。

店に入る直前、僕は店の入り口で待機していた。
何の連絡もなしに突然の訪問だから、なんて顔して会ったら
いいのだろう?
彼女はどう思うだろう?
そんなことを考えながら雪の降る寒空の中を待っていた。

店のドアが開く音。
中からひょっこりと顔だけ出した彼女。
ジッっとこちらを見つめる。
そんな子供っぽい仕草も何年も置き去りにしてきたような懐かしい
ものだった。

僕は自然と笑顔がこぼれる。
やっぱり彼女のことは好きなのは間違いない。
僕は店に入った。

一ヶ月という期間。
僕にはとても長く感じた。
その期間に数回ではあるが違う店にも行った。
しかし、そのどれともない、懐かしい感覚。
他のbabaeもみんな久しぶりだった。

1セットだったが、ランと話をした。
今後のこと・・・どうしてこうなったか、どうして欲しいか。
こちらからの要望を伝える。
そして運命の日は10日。
刻一刻とその日はやってくる。


~~ つづく ~~

これまでいろいろな物語を書いてきた。
しかし、それもしばらく語れなくなりそうだ。
それというのも、彼女の考えがあまりにも僕のそれとは
合わなかったため、僕は別れを切り出した。

今、僕は彼女に会うことができない。
昨日でちょうど2週間・・・
たかだか2週間会わなかっただけと思う人もいるだろう。
しかしクリスマスや正月があり、彼女とゆっくり会う時間は
きちんと取れなかった上での2週間だ。

会えない状態での電話は彼女と僕を繋ぐ唯一の手段だ。
しかし、それさえもうまくタイミングが合わない。

夜、お店に出ている時の彼女とは長く話をすることはできない。
今週から朝に少し時間があるのでその時に電話をしているが
かけても話し中だったり、彼女が忙しかったりと、そんな状態が
続いていた。

そして今日の朝の電話。
bahayに帰った彼女は着替えもままならないままに、掃除を
始めたようだ。
いったん電話を切る。

15分後再び電話。
今度は、たまっている洗濯をすると言った。
「今日の夜の着替えがないの?」
僕は聞いた。

今日は雨で朝から洗濯しておかないと明日の朝には乾かない。
仕方がないのはわかっていた。
しかし、僕が話ができるのは仕事が始まる残り15分にも満たない
時間だ。

15分後に洗濯をしてもいいじゃないのか?
15分、僕のために時間を使ってほしかった。
でも彼女は自分の時間を取った。

それが彼女の答え・・・そして僕の答えである。

彼女に声を荒げて怒ったことはなかった。
初めて大きく強めの声で彼女に怒りを表した。
「別れよう」
そういうと電話は無言で切れた。

僕は間違っていただろうか?
わがままを言っただろうか?
答えも出ないまま、この物語はいったん幕を閉じることとなった。


~~ 第一部 完 ~~