病室へ行くと麻子はベッドに横たわっていた。
「あっひさしぶりやね。」元気そうに言う。
「麻子、大丈夫なんか?」母が心配そうに言う。
「うーん今は平気。昨日まで風邪ひいてたけど、随楽くになったよ。」
「そうかーそれならええんやけど」母は今にも泣き出しそうだった。さっきまで泣いていたのだが、麻子の病室に入る前にしっかり拭いていた。
父はしょっぱい顔をしながら黙って麻子の方をずっと見ていた。
「あっ麻子、これ着替えとか歯ブラシとか持ってきたよ。」そう言って僕は麻子の日用品を渡した。
「ありがとー」

麻子がみんなに心配させまいと元気に振舞っているのが分かり、逆に胸を締め付けられた。

しばらくすると朝ごはんが病室に運び込まれた。このレチノイン酸は錠剤で毎食後に飲用する。医師が見守る中初めてレチノイン酸を口にする。もし体質が合わず副作用が発生する場合はその場で明らかに体調に異変が発生するらしい。
「まずいか?」僕が麻子に尋ねる?
「うーん普通」
「そうか・・・まぁ飲めそうならよかった。」
僕はほっと胸を撫で下ろした。
麻子には副作用は発生しなかったらしい。

こうして麻子はこの治療を1ヶ月続ける事となった。そして麻子の父と母は特に東京観光をせず、そのまま三重へと帰っていった。僕もその日は家路についた。