女性の自宅を出た僕は麻子にメールした。
『俺、なんか急に原宿の古着屋で働く事になった今仕事終わったけど麻子終わらないの?』そうするとすぐ麻子からメールが返ってきた。
『そなんやーおめでとーあたし今終わって原宿駅に向かってた所よ。』
僕は麻子と古本屋さんで待ち合わせをして一緒に帰宅した。家に着くと、今日の変な女性店員が店長でなんか即働かされた事を話した。麻子は笑っていた。
「ありえないくらいアバウトな店やねー」
「うん。これなんやと思う?」そう言って麻子に財布の中身を見せた。
「ん?お金?」
「うん、日払いで四千円もらった」
「今時日払いなんやー」と麻子は爆笑していた。
こうして僕たちの東京生活の土台が固まった。まぁ土台というか何と言うか、とりあえずお金が貰えるシステムが確立した事で生活していく上での不安は無くなった。
数日経って、バイトのローテーションを決める日がやってきた。朝、店長の自宅に行くと一人の女性がソファーに腰掛けていた。
「あっこの子とローテーション決めて」そういうと隣のソファーに腰掛けるよう進められた。
「あっ初めまして、山岡です。」
「あっこんにちは。中村です。」こうしてよそよそしい初対面を済ませたのであった。山岡さんはまだ大学生らしく、平日は火曜日だけ学校が休みらしい。
「店長―ローテーション決めるってかもう決まってるんじゃないっすか?」
「あーまぁ大体、中村君が納得するかだけだよ。」
「まぁ俺別にフリーターですから、時間余ってるんで全然大丈夫ですよ。」
「じゃあ決まりだね。」
「あっありがとうございます。では、私、学校がありますので」そう言って山岡さんは部屋を出た。僕のローテーションは火曜日以外出勤、土日は山岡さんと調整してどちらか1日出勤する事となった。はっきり言って、ローテーションの調整という名の出来レースだと思った。まぁ別に僕が働く分には別にいいのだが、逆に山岡さんは週2回しか働かなくて生活が出来るのか心配になった。
そしてその日も一日が終わる。丁度麻子の仕事も十九時に終わるのでいつも仕事が終わると古本屋さんで待ち合わせをする。麻子のほうが早く来ている場合、二階の文庫本コーナー。僕が早く終わっている場合は麻子がCDコーナーへ探しに来る。そういう暗黙のルールがいつの間にか出来ていた。
僕はまず二階の文庫本コーナーへ行った。
「あっ麻子」
「あっヒロト」
「今日は麻子の方が早かったんやね。」
「うん、丁度閉店の時にお客さん居なかったからね。」その時、麻子は手に雑誌の様な物を持っていた。
「それなに?」
「あーこれですか、これはスムーズという雑誌ですよ。」その雑誌はストリートスナップばっかり載ってるファッション雑誌である。似た雑誌にフルーツやチューンという雑誌がある。
「んで、なんで持ってるの?」
そう聞くと麻子はニッシッシと笑った。
「今日昼休みにプラプラしてたら、声かけられて撮られたのですよ。」
「マジ?すごいじゃん。けどそれには載ってないやろ?」
「あー一応どういう感じで載るのかなって思って買ってみた。というかその雑誌知らなくてさ、エッチな雑誌だったら嫌だからあの、写真撮ってくれた人が言う事が本当かどうか確認しに来た!」
「そうか、まぁ意外と危ないからな。いろいろ。うん載るといいね。」
こうして僕たちは三軒茶屋に帰るのだった。