不採用通知 | 妻と上司にゃ秘密です

不採用通知

3年前は自分も無職だった。


親父が経営していた会社がどうにもならなくなり、

できるだけ傷が広がらない形で幕引きをした。


元の業界には戻らないつもりで、心を鬼にした。

当時の取引先の皆さん、ごめんなさい。


本当に就活は厳しかったです。

振り返って考えると、たいしたスキルも見当たらなかった。

あやふやな自信はあったものの、

それが客観的に見てどの程度のものなのか測るすべもなく。


大風呂敷を広げられる性格でもなく、苦戦を強いられた。


何度か失敗して、今の会社に縁あって採用された。

必要に迫られてさまざまな業務を経験して、

今はそれなりに安定した地位も与えられている。


新しい人材を募集することになり、面接と採否を任された。

募集に応じるのも同世代か、それよりも上の年代の人ばかりだ。

採否を判定することがとてもつらい。


申し訳ないが、うち以外でも採用される可能性は低いだろう。

技術的には相応のレベルは持ってらっしゃるだろうが、

決定的に覇気がない。


今の日本で覇気を持てって方が無理な注文なのかもしれないが。


もし、再び自分がその立場になったらと考えると、

より一層やるせない気持ちになる。


そうなったら必ず沈んでしまう自分を想像できるから。


彼らは私と同じだ。同じカードなんだ。

そう思うと、暗澹たる気持ちになる。


1名だけアルバイトで採用する。来週には一緒に働くことになる。

お会いした中で、一番仕事ができそうになく、

だけど、一番仕事をしなければならない環境にいる方を、

あえて選ばせてもらった。


驕りではない。上から救い上げた思い上がりでもない。

同じ匂いを感じた方に望みをかけたのだ。

詳しくは聞けなかったが、お持ちの家族で身につまされるのだ。


同じカードなのだ。


願わくば、この職場で確固たる居場所を見つけて欲しい。

なくてはならない存在にすぐさまなって欲しい。


そうなれば、悲しい宣告をせずにすむ。


これから3通の不採用通知を投函する。

心の中でわびながら。