「保乃ちゃん。」
田村「ん〜?どうしたん?」
「私の事好き?」
田村「ふふ、好きに決まってるやん、どうしたん〜?笑」
私の頬を両手で包んで、可愛い笑顔を浮かべた保乃ちゃん。
あぁ、この笑顔に素直にキュンと出来たらどれだけ幸せだったんだろう。
私、知っとるよ。
保乃ちゃんが裏で理佐さんと会っとること。
保乃ちゃんは知らんやろ?私が知らないフリしてあげてるって。
「んーん、なんでもなか。」
田村「ふふ、変なひぃちゃん。」
「あ、せや、明日のデートさここ行きたいんやけど、どう?」
「ん、良かね。そこ行こっか。」
田村「やった、」
なぁ、私はどっちなん?
本命?それとも浮気相手?
分からんよ、保乃ちゃんの気持ちが分からん。
「…保乃ちゃん、」
田村「ん?」
「理佐さん、」
田村「…え?」
「…理佐さん久々に会いたくない?」
田村「あぁ、ふふ、やな、元気にしてるかな?」
やっぱり踏み出す勇気はなくて、けれど、保乃ちゃんの癖を知ってしまっているから、傷つくだけ、傷付いてしまう。
こんなに苦しくなるなら、傷つくなら、
保乃ちゃんのこと愛したくなかったな。
好きにならなきゃ、良かった。
ピコン
藤吉夏鈴:ひかる、話さなきゃ行けへんことがある。
いつ予定空いてる?
ー話さなきゃ行けないこと。
ほら、保乃ちゃん、夏鈴まで気付いちゃったよ。
保乃ちゃんが甘かったから、理佐さんと上手に浮気せんかったから、知らないフリ続けること、出来なくなっちゃったじゃん。
森田ひかる:明後日、17時から、どうかな?
藤吉夏鈴:了解。ありがとう。
田村「ひぃちゃん?」
「…嘘くらい、上手についてよ。」
田村「え?」
「…ごめんね、保乃ちゃん。もう大人にならなきゃいけないみたい。」
田村「ひぃちゃん?」
「…まだ、子供でいたかったな。」
田村「…?」
「好きだよ。保乃ちゃん。」
明日のデートでこの関係は終わる。
長いようで、きっと短かった。
私と保乃ちゃんの物語はここで終わり。
明日、時計が12時を回ったらサヨナラをしよう。
それまではまだ、子供のままで。
-fin-
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