校長「第46回 櫻高等学校 卒業式を開会致します。」

遂に来てしまった理佐達の卒業式。
本人たちは気怠げに校長先生の話を聞いている。
あ、こら、理佐欠伸しないの、平手も!!


……こうやって思う事も今日が最後なんだな、、、






副校長「それでは卒業証書授与、まずは1組から。」


「ふぅ…、」


1組の生徒全員の名前が書かれている冊子を手にマイクの前に立つ。

「石森虹花、」

石森「はいっ。」

いつものおちゃらけた雰囲気を若干漂わせながらステージにたった虹花。卒業証書を受け取り、真ん中の階段から降りる、そう、上手上手。

石森「…由依先生ーー!!」

「!!?」

石森「私が滑った時いつも強めのツッコミ入れてくれてありがとうーーー!!ずっと、大好きだよーーー!!」

「っ…、」

してやったり、なんて顔をして席に戻った虹花。ばか、ほんとばか。

でもこの流れは途切れることなく続いていった。
一人一人、一言ずつ私に向けて残してくれるメッセージにどんどん視界が歪んで行く。

「平手友梨奈。」

平手「はい!!!!」

そして平手も卒業証書を受け取った。そして階段を下りることなくステージの真ん中、卒業証書を高く上げ叫んだ。

平手「由依先生ー!!先生が居てくれたからこの日を迎えることが出来ましたー!!ほんっとーにありがとーございましたー!!!」

そういってガッツポーズをした平手、その姿が球技大会の時の平手と重なって、思い出に胸が熱くなる。




「っ…、渡邉、理佐、」

理佐「はい。」

最後の一人、理佐は誰よりも凛とした姿で卒業証書を受け取って、階段を降りた。

理佐「先生ーーー!!」
「私の事ずっと支えてくれてありがとう、私に夢を与えてくれて、ありがとう!!!!本当にお世話になりました!!!」

「っ…、」

そこから気づけば式が終わっていて最後のHRになっていた。




「はぁ…ほんとに、この日が来ちゃったんだね、」

平手「ふふ、先生泣きすぎーー。」

「だって、だってさぁ、寂しいんだもんっ、皆のこと大好きなんだもん、」

長濱「ちょっと待って、つられる、つられちゃう!」

平手「ねるがないたら、私も泣いちゃうよ!!」

「っ…皆、本当に今日までよく頑張りました。」
「皆はこの3年間、楽しかったですか?」

菅井「っ…ぐす、楽しかったです!!」

平手「私も!!特にこの1年はすっごい楽しかった!!」

理佐「楽しかったよ、先生。」

「「「「わたしも!!」」」」

「そっか、、良かった。」
「皆の担任になれて本当に良かった。本当に、本当に、良かったよ。」

平手「…理佐、」

理佐「ん、」
「先生。」

「…ん?」

突然立ち上がった理佐、何処からか花束を取りだして、そして平手と共に私の前にやってくる。

理佐「ここまで来れたのは本当に先生のお陰、ほんとに、ほんとに、お世話になりました。ありがとう、ございました。」

平手「これ、私達から、」

理佐から花束、平手からカラフルに埋まる色紙を渡される。

「っ…ぐす、うぅっ、やっぱ卒業しないでよっぉぉ、」

理佐「ふふ、泣きすぎ笑」

「ありがと、う、皆、ありがとう、」

こうして最後のHRが終わった。
生徒と共に校門へ出れば写真撮りましょー!なんて列が出来て1人ずつと言葉を交わして写真を撮っていく。

理佐母「由依先生、」

「!!お母様、お久しぶりです…。」

理佐母「お久しぶりです、本当に親子共々お世話になりました。」

「いやいや、理佐ちゃんにはいつも私が支えてもらってばっかで、」

理佐母「あの子、由依先生のお話をする時すごく楽しそうなんです、これからも支えてやってください、」

「っ…はい!!!」

理佐母「理佐ーー、由依先生と写真撮らないの?」

理佐「今行くー!!!」

ひかるちゃんや保乃ちゃんと写真を撮っていた理佐は駆け足で私の方へやってくる。


理佐「先生着物似合ってる、」

「ありがとう、」
「理佐がしっかり制服着てるの慣れない、」

理佐「ふふ、私も慣れない。」
「お母さん、撮って。」

理佐母「はーい!いくわよー、はい、ちーず。」

「ありがとうございます、」

理佐「後で送るね、」

「ん!」

理佐「それと、由依、」

「ん?」

理佐「…由依のことが好きです、私と付き合って貰えませんか?」

「っ……、」
「はいっっ。」

理佐「よかったぁぁ…。」

理佐母「おめでとう!!!」
平手「ふーーっ!!!」
森田「最強カップルが帰ってきたぞーーー。」
田村「おめでとうございまーす!!」
「「「「「「「おめでとうー!!」」」」」」」

周りに祝福されるってこんなに嬉しいことなんだ、
理佐の事もう隠さなくていいんだ、我慢しなくて、いいんだ。

「理佐ーーー!!!」

理佐「うぉっ、ふふ、これからもよろしくね、由依。」

「うんっっ。」
「よろしくね、理佐。」

桜が舞い散る中綺麗に笑う理佐は、出会った頃とは違う、大人になった表情をしてる理佐だった。
それでも笑みの中にある変わらない理佐に嬉しくなって、もう一度存在を確かめるように抱きしめる。

卒業おめでとう、理佐。






ーーーー5年後

小林「それじゃ、この採点お願い出来る?」

森田「はい!え、これとこれですよね?」

小林「そうそう。」

「ふふ、教育実習生頑張ってますね」

森田「頑張ってますよ!!笑」

小林「ふふ、そうですね。理佐先生も早くて動かして下さい?」

「あ、すみませーーん。」

教師になった私は第1希望から第5希望まで全て"櫻高等学校"と書き無事青春を過ごしたこの学校で、担任だった由依、先生と共に働いている。
そしてついこの前やってきた教育実習生は悪戯顔をした、少し大人になったひかるちゃんだった。

小林「まさかこの3人で働く事になるなんて思わなかったな。」

「ふふ、だね。」

森田「ほんとに、」

小林「ね、私上司。け、い、ご、は?」

「ふふ、パワハラだーー、ひかるちゃん怖いねーー」

森田「怖いですねーーっ。」

小林「この、くそがきがーー!」

「国語の先生がそんな汚い言葉使っちゃダメですよ?先生?」

小林「くっ…もう、晩御飯抜きだから。」

「え、それは違うじゃん、嘘、ごめん、ごめんなさーい。

森田「ふふ、理佐先生可哀想ーー」

小林「ひかるも保乃ちゃんに言ってご飯抜きにしてもらうからっ!どうせなら私と保乃ちゃんでご飯食べに行っちゃおうかな。」

森田「ちょっ…、もー、理佐さん、助けてーー。」

「ふふ、むりー笑」
「あ、チャイム鳴っちゃった、じゃあ、私授業行ってきますね。」

小林「はーい。頑張ってね。」

「ふふ、はい!!」

森田「ふぁいとでーす。」

「はーい!」

小林「ほら、ひか…森田先生はさっさと手動かす。」

森田「ふふ、はーーい。」

-fin-


問題児なりの理由ご愛読ありがとうございました!!
ご報告でお話した通りこれでAmebaさんでの投稿は以上になります。別サイトにて、違う長編、短編、夢小説を上げています。気が向いたらそちらの方も寄っていただけたら嬉しいです。
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