「ごめん、遅れちゃって。」

森「全然大丈夫ですよ、私も今来たところなので!」
「さ、行きましょーーー。」

恋人のひかる。
容姿、性格、才能、すべてを持ち合わせたハイスペな彼女。
高嶺の花とまで言われる彼女にはたくさんの人達が寄ってくるそれなのにそんなのに見向きもせず私を一途に愛してくれる彼女は最高だ。

今だって私が遅刻したのにも関わらず怒りもせず助手席のドアを開けてくれて、シートベルトまでやってくれる。
ドリンクホルダーには私の大好きなお店のコーヒー。
ほんとに完璧な恋人。

森「あ、そうだ!これ由依さんに似合うと思って!!」

「え!可愛い、」

森「これ凄く綺麗なんですよ、由依さんにお似合いです。」

「っ…ありがとう。」

デートの度に私に似合うから!なんていってプレゼントをくれるし、この前のお家デートの時は、

「ごめん、女の子の日来ちゃった。」

森「え、大丈夫ですか。」
「とりあえず横になって、ちょっと待っててくださいね。」

「ごめんね、」

そそくさとマスクをつけ家を出ていったひかる。
ものの数分で帰ってきたと思えば両手にはパンパンの袋。

森「はぁはぁ、食欲はありますか!?」

「あんまり、ないかも、って凄い汗だけどひかるこそ大丈夫?」

森「ちょっと走りたくなっちゃって笑」
「じゃなくて、お粥なら食べれそうですか?」

「お粥、作ってくれるの?」

森「はいっ」

ちょうどいい暑さのお粥を作ってくれたり、

森「今日は映画でも見ましょうか。」

ずっと腰やお腹を擦りながらそばに居てくれたりする彼女は本当に神様なんじゃないかと思う。




それでも私が同じくらいの愛を返せていないのは

「ごめん、ちょっと遅れちゃった。」

理「遅い。」

「ほんっとごめん、」

理「…時間少なくなったじゃん。」

「え?」

理「いいから、早く乗って。」

「お願いします。」

後ろに跨りぎゅっと抱きついた身体や、



「理佐ー、女の子の日きたー、」

理「ん、寝て。」

「理佐は、?」

理「喉乾いたからコンビニ行ってくる。待ってて。」



理「ただいま。」

「おかえ、り、って飲み物ってだけの量じゃないけど、」

理「お粥食べたくなったから。」

「そっか笑」

理「沢山作りすぎる予定だから由依も食べてね。」

「ふふ、うん。」




「んーー、お腹痛いー、」

理「…寒い。」

「一緒に布団にくるまってるじゃん。」

理「寒いもんは寒いの。」
「…ほんとに寒いだけだから。」

なんて言ってくっついてきてぶっきらぼうにでもやさしい手でお腹を摩ってくれる、そんな彼女がずっと消えてくれないから。

どれだけ忘れようとしてもことある事に理佐が出てきて、
その度にひかるへの罪悪感が増えて、何度も別れようって口にした。

それでも

森「いいんです、いつか由依さんが私の事好きになってくれるまで理佐さんのこと好きでいていいですから。だから、そばにいさせて下さい。」

なんて返してくれるひかる。
今だってなんかありました?なんてすぐ気づいてくれるし、
コーヒーだって私の好きな甘さだし、
髪型もメイクも沢山褒めてくれる。


それでもやっぱり私は理佐の事を思って、恋して、
そして傷ついている。


もう理佐はいない。
そんなの分かってる。
それでもずっと探している。


どうか神様、こんな汚い人間を許してください。


「好き、だよ」

森「…私も好きですよ、沢山沢山、大好きです。」

"何、急に、そんなのとっくのとうに知ってるよ"
"愛してるよ、由依"







好き、だよ、理佐。