松「ねー、ほのってひかるちゃんと幼馴染なんでしょ〜?私の事紹介してよー!!お願い!!」

「ぜっったい嫌や!!ほの、ひぃちゃんと幼馴染ってだけで仲良くないもん。」

松「仲良くない割には仲良さそうな愛称で呼んでますけど」

「…仲良くないもん。」

仲良くないのは事実だ。
いや、気づいたら話さなくなっていた。
その理由はひとつ、ひぃちゃんが不良になってしまったから。

毎日毎日どっかの誰かと喧嘩して血だらけで帰ってくるとひぃちゃんのお母さんが言っていた、ほのは痛いこととか絶対嫌やし喧嘩をするひぃちゃんの事が全然理解できひんかった。

それからひぃちゃんを避けるようにほのは過ごしていた。

松「けどさ、あの気だるげ感?けど余裕のある感じ?不良感?たまらんじゃーん。私ならひかるちゃんと仲良くなれると思うんだよ!!」

「なら自分で行きーや。

松「え〜…」

「ほのは彼氏くんと帰るからまたね〜」

松「あ、ちょ!もー。このリア充が〜!!」

ふふ、後ろでまりなちゃんがなにか叫んでるけど気にしな〜い。ほのには愛しの愛しのゆみおくんがいるんやから〜。

三組三組〜、ゆ〜みおくん〜。

「ゆみおくん、迎え、きた……え?」

関「あ、いや、これは、違くて、」

大沼「あー、ほのちゃん来ちゃった、ふふ、」

「どうゆうこと、?なんでちゅーしてたん?なぁ、なんで?」

関「あ、いや、えっと。」

ガラガラ

森「失礼しま〜す。」

ひぃちゃん!?

え、ちょ、なにしてるん!!?

ボコッ

関「いっ…ちょ、森田、何すんだよ、」

森「言ったでしょ、ほのちゃん傷つけたら容赦しないって。」

「え?」

森「じゃあ、失礼しましたー。」
「あ、ほのちゃんも一発殴っとく?」

「え?あ、いや、え?いや、大丈夫、え、ちょっとまって、ひぃちゃん!」

森「一緒に帰ろ、ほのちゃん。」

棒状の飴を咥えながらのほほんとしてるけどさ、
今ひぃちゃん人殴ったよね?!

関「っ…俺は、大沼のこともほののことも好きだ。」

「え?」

ちょ、ちょっと待ってな。
急なクズ発言にびっくりしてんねんこっちは。

森「ふふ、で?」

……ひぃちゃん、目笑ってへんで、ほ、ほら、にこーってしてみ?な、?

関「だ、だから、ほのと別れたくない、」

森「ふふ、そっか。」
「ほのちゃん、こー言ってっけど、どする?」

"よっと〜"なんて言いながら椅子にたったひぃちゃんはバランスゲームをしたままほのに聞いてきた。

どうする、ほのは、どうしたいん。
ほのはゆみおくんのことが好きや、

森「私はほのちゃんが1番だよ。」

「え?」

森「あ、ごめん、口挟んじゃった。どーぞ、お考え下さい。」

好きやけど、ほののことを一番に考えてくれてたゆみおくんが好きや、今のゆみおくんのことはもう、

「好きやない、今のゆみおくんとは付き合ってたくない。」

森「だってさ〜、どーする?」

関「お、俺は、ほののことも好きだっ…うっ…」

わーお、蹴り入っちゃったよ。
ひぃちゃん女の子、やんな?ゆみおくん男の子やんな?

森「ほのちゃんに近寄らんで。」
「関くんはさ顔もいいし〜きっと恋愛以外やったら性格いい方じゃん?けどさー、ほのちゃん傷つけるやつはどんな理由があっても大っ嫌いなんだ。」

田「…ひぃちゃん、」

森「一つだけいいこと教えてあげる、よっ…」

トンッ

椅子から跳び下りたひぃちゃんは飴を咥えたままゆみおくんにちかづいた。

森「私はほのちゃんが好き。
「ほのちゃんを傷つけようもんなら、分かってるよね。」

関「も、もうほのには近づかない、」

森「うん、お利口さん〜。」
「あ、でも、ほのって呼ばんで?笑」
「普通に癪に障るけん。」

関「ご、ごめん、じゃ、じゃあ、」

大沼「あ、ちょ関くん〜!!吊り橋渡って帰ろ〜!!」

森「何あの子、激強メンタルかよ。ふふ、面白い。」

「ひ、ひぃちゃん。」

森「あ、ごめん、ほのちゃん喧嘩とか嫌いなのに。」
「あ〜泣かんでよ〜。」

「ごめん、なんか色々ありすぎて涙止まらへん、」

森「んー、あ!!」

「ん?…んっ、ちょ、ひぃちゃん、」

森「ふふ、美味しいでしょ?この味お気に入りなんだ。」

「っ…うん、美味しい。」

ひぃちゃんがさっきまで食べてた飴がほのの口の中にある。
………潔癖症の理佐さんやったらどうなってたんやろ。
なんて想像して笑いが溢れる。

森「今なんか変な想像したやろ、」

「ふふ、バレた?」

森「顔からしていい物じゃなさそー。」
「ほら、帰ろ、ほのちゃん。」

んっ  って伸ばされた手を握って片手で飴を持ちながら教室を出る。

森「今日から私ほのちゃんの番犬になってあげる。」

「ふふ、わんわん〜って?」

森「うん、私がほのちゃんを守る。」

「…うんっ、守って。」

嫌いだったはずの喧嘩、苦手だったはずのひぃちゃん。
それに変化が現れたのはこの日からやった。