一目惚れだった。


友達に向けていた可愛い笑顔に一瞬で心が奪われて、
それからほののことしか考えられなくなった。


バスケ部のマネージャーに入ってきてくれた時は死ぬほど嬉しくて、でもどうやって距離を縮めればいいかわからなくて、ほのの前ではかっこつけちゃって全然上手く話せなかった。


「はぁぁぁ…」


理「なーにため息ついてんの。」


「今日もほのちゃんと全然話せなくて。」


理「でもあの子いっつも平手の事見てるよねー。」


「え"そうなの!!?」


理「え、うん。多分。ね、由依。」


小「うん、見てると思う。」


「まっじで!!?やばぁ。」


理「ふふ、表情筋緩みすぎ。」


「いや、うれしくて、つい、」


そっか、ほのちゃん私の事見ててくれてるんだ、
明日こそ、ちゃんと話そう。


-翌日-


田「平手先輩!!!これタオル、もしよかったら…!!」


「ありがとう。ふふ、顔赤いよ?大丈夫??笑」


田「え!!だ、大丈夫です!!そ、それよりさっきのシュート、かっこよかったです…!!」


「っ…ありがとう。あ、次シュート決めたらピースするから、見ててよ。」


田「っ…はい!!!!」


カシャ


「ん?ちょ、理佐ー、今写真撮ったでしょー!」


理「ふふ、なかなかいい写真だよ笑笑」


「どれどれー…っ…」


理佐が撮ってくれた写真に映る私とほのちゃんは凄い笑顔で、
THE青春って感じで、なんかすっごく嬉しくなった。


田「こ、これ!!!送ってください!!!」


理「ふふ、いいよ〜〜」


「私にも!!送って!!!」


理「はいはーい。」


ほのちゃんとのツーショット、嬉しい。


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それから数ヶ月の時が経ち私はほのへ告白をした。


「ほののことが好きです。」
「私と付き合ってください。」


田「っ…お願いしますっ!!!」


OKを貰えた時は嬉しすぎてめちゃめちゃ泣いちゃったりして、ほんとこれ以上の幸せないんじゃないか、ってくらい嬉しかった。


付き合ってから沢山デートもしたし、写真も沢山撮った。
でも日が経つにつれてほのの笑顔は少なくなっていって、部活中ほのの視線は私ではなくひかるちゃんへ向き始めた。


ひかるちゃんがシュートを決めた時は心の底から嬉しそうに笑って、外した時はすっごい悔しそうに顔を顰めて、コロコロと表情を変えるほのを見るのは楽しかった、けど、表情を変える相手が私じゃないことに嫉妬したりして、この時からもう気づいていた。


ほのの好きな人は私じゃないって。


私は、ほのの幸せしか願っていないから。
例えほのを幸せにする相手が私から変わってしまったとしてもちゃんと最後は、隠した思いが見つからないように、
横から背中押すから。


だから、もう少しだけ、ほのの隣にいさせて欲しい。






"恋人ならしっかりほのちゃんのこと守ってください"


その言葉が私の心を重く突き刺した。

私は役不足だ。こうやって今もほののことを助けたのは私じゃない。ひかるちゃんだ。

ほののことを好きな気持ちは負ける気がしない。でも、ひかるちゃんからは、ほのへの好きだけじゃ表せないくらいの愛が溢れていた。


そしてそれはほのも同じだった。
ひかるちゃんへ向ける目は愛で溢れていて、きっと自分でも気づいてる。でも優しいほののことだから私へ気を使ってその気持ちを気づかないように気づかないように頑張っているんだろうな。


ここは先輩として、恋人として、大人になろう。


「ほの、別れよう。私たち。」





走り出したほのの後ろ姿に思わず待って、私の所へ戻ってきて、って叫びたくなる。でも、ほのはもう1歩を踏み出したんだ。
私もほのから1歩踏み出さないといけない。


「ほの、ずっと大好きでした。」