漢詩と謂うと敷居が高く感じるかもしれません。
ですが、案外親しみやすい内容だったりします。
そこで今回は、誰もが知っているワンフレーズから、杜甫の〈春望〉を語りたいと思います。
【国破れて山河在り】ってフレーズは、大体の大人は、見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
- 國破れて 山河在り
- 城春にして 草木深し
- 時に感じて 花にも涙を濺ぎ
- 別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
- 峰火 三月に連なり
- 家書 萬金に抵る
- 白頭掻いて 更に短かし
- 渾べて簪に 勝えざらんと欲す
と謂う詩なのですが、冒頭の『國破れて山河あり』とは、如何にも古代中国の乱世を如実に語り、締めくくりに・・・
白頭掻いて更に短し、渾べて簪に 勝えざらんと欲す。と、在ります。
要は、杜甫とは李白に肩を並べる俳人でありながら、自国の乱世を憂いつつも、自らの白頭を嘆いたりしている。
頭上にある冠を支える為の簪が、短く薄い我の白頭で、せめても耐えてくれはしないか。
と、願っています。
勿論、杜甫ですから、自らの薄毛を嘆いているだけではなく、乱世を潜り抜け、自らは老いてしまったが、せめても今の官位は保ちたい。
と云った杜甫の人間らしさ。枯れても尚、春を望む心境。
何とも人間らしい。であるからこそ国が敗れたとしても、自然は泰然自若と目の前にあるではないか!!と、詩を通じて民衆を勇気づけたのでしょうかね。
自らはハゲに悩んでいるが、そんなことは、大自然の尊さを思えばちっぽけな事!!
って謂う究極の自虐ネタですね。