『俺さ、リナちゃんがすごく好きなんだよ!!
いや、もう好きっていう言葉じゃ表せない。
愛してるんだ・・・。』
コウスケさんは私の手をギュッと握った。
その眼差しはとても真剣で
振り払うことが出来なかった。
『で、でも・・・。コウスケさん奥さんがいるじゃない・・・。』
『だから・・・だから苦しいんだ・・・。
でももう言わずにはいられなかったんだよ。
リョウタ君といつも現れるリナちゃん、
リョウタ君と一緒に帰るリナちゃん、
俺はいったいどうしてここにいるんだって
その思いが拭えないんだよッ!!』
『・・・・・。
でもコウスケさん、ずるい・・・。』
『俺が結婚してるから?』
『そうですよ!だって、私にどうして欲しいの?
私には何も出来ないよ。
そんなこと言うんだったら
奥さんと離婚してから言うべきことでしょ?』
『そう・・・、確かにそうだよ・・・。
じゃあリナちゃんは俺が離婚したら
俺のこと見てくれるってこと?』
『そ、それは・・・わからないよ・・・。
だって今はうまくいってないって言っても
私にはリョウタがいるし・・・。
でも!!だって!!
そう言うんだったら、私が待ってないと
コウスケさんは離婚できないってことでしょ?
それはおかしいです。
だって離婚するのは二人の問題でしょ?
一緒にいられないから離婚なんでしょ?』
『リナちゃんにはわからないかもね・・・。
夫婦っていってもすでに仮面夫婦なんだよ。
それも今リナちゃんに言うのは反則?
そんな生活の中で家族っていう情があって
リナちゃんっていう原動力によって
その情を断ち切るってことだってあるんだと思うよ!!』
『・・・・・。』
私にはわからなかった。
どうして今、今の現状で私に伝えるのか。
でも、まだ当時、
男と女の駆け引きのようなものがわからず
コウスケが言う、『離婚の原動力になる』
という言葉が自分をとても欲しているように聞こえた。
まだ子供だった。
私はこの時、本当に甘かった。
わかりやすい愛情は
私の心に少し割り込んできていて
その日からコウスケのことばかりを
考えるようになっていた。