AKB48、3rdシングル、2007年4月18日発売。


当時、社会問題化していた教育現場における「いじめ」と「自殺」をテーマにした問題作。少し前に、群馬県桐生市の当時小学6年生の女の子がいじめにより首つり自殺した事件が話題になっていたが、その事の展開がほとんどこの曲の歌詞通りの内容で驚いた記憶がある。


この曲、ファンの間で特に人気が高いというわけではないが(リクエストアワーでは確か第1回以外には入っていない)、メンバー内ではそこそこ人気があるようで、PVのコメンタリーでは前田、大島、高橋、小嶋がかなり熱心に語っていたり、石田晴香が自分ならこういう曲をやりたいと発言したりしている。メンバーが選ぶリクエストアワー(「夕陽を見ているか?」が1位になったやつ)では結構な上位にランキングされていたのも印象的。


知る限りでは、この曲がTVで放送されたのは1回のみ。NHKの音楽番組だが、この時は不自然なカットをされまくりで、全くメッセージ内容が伝わらないテイクになっている。


この作品で評価したいのは楽曲としてのバランスの良さ。ベースラインを強調した「耳に残る不協和音」、青春期特有のアンビバレンツでシニカルな詩(特に2番が秀逸)、衣装や振付けも悪くない。振付けは、「ぱすぽ☆」の振付師が「腕をダラッと下す振りが面白い」と評価していたが、ラストの振り向きも「お前はどうなんだ?」と問いかけられるようでゾッとする。


ちなみに、冒頭で学校の屋上から飛び降りようとしている後姿は河西智美。このPVの河西はかなりイイ!! ついでにいえば中西、小嶋あたりもこのころが絶頂期だろうか。


PVを撮った高橋栄樹監督は、これがAKBの初作品であるにもかかわらず、実によく作品世界を理解していたと思う。音楽のPVでは珍しいリアリティを重視した教室シーン。ブルーを基調とした寒々とした空気の中、ショッキングなカラーやメッセージを散りばめる。ひとりひとりの表情をちゃんと捉えながらも、この曲のメッセージがズシリと伝わってくる。


この前作「制服が邪魔をする」では渋谷の援交JKをテーマに取り上げており、路線的にはそれらのテーマが入り混じったような「涙売りの少女」、「命の使い道」、「否定のレクイエム」などに連なるテーマが垣間見える。


それにしても、このタイミングでこの曲を発表することの意味。売り出し中のアイドルの3rdシングルがこのテーマとは、正気の沙汰とは思えない。どう考えても売れることを考えていない。当時のAKBはアグレッシブだったよなぁ…。