「狼とプライド」


優れた楽曲が多いSKEの中でも常に上位にランクされる名曲中の名曲。オリジナルでは矢神久美と森紗雪の歌声が初々しい、「ウィンブルドンへ連れて行って」と並ぶ、ど真ん中王道アイドルソング。この作詞家のプロらしい仕事ぶりには改めて敬服する(人はそれを天才とも変態とも呼ぶ)。


この曲、さんざん聴いていて気づかなかったのだが、とある指摘を見て「なるほど」と思ったことがある。The Ronettesの「Be My Baby」を下敷きにしているというのだ。


ロネッツといえば1960年代半ばに活躍した3人組の女性ボーカルグループ。フィル・スペクターと組みいくつかのヒットを飛ばし、中でも「Be My Baby」は誰もが一度は耳にしたことがあるスタンダードナンバーだろう。


あらためて聴き比べてみると、肝心の大サビが特に似ていないので気づかなかったのだろうか。でも確かにBメロはよく似ている。そっくりと言ってもいい。しかしまぁ、よく気づいたもんだ。


でも別にパクリだとかなんとか言いたいわけじゃない。60年代のオールディーズが現代日本で最新のアイドルソングに生まれ変わる…むしろ見事なアレンジだと感心してしまうのだ。あのフィル・スペクターが大瀧詠一やブライアン・ウィルソンのみならず、こんなところにまで影響を与えていた、なんてね。