『THE END OF JOBS 僕たちの20年戦略』(TAC出版)など、世の中は副業や起業といったキーワードや生き方が、僕がサラリーマンを辞めて独立しようと考えていたときと比較して、飛躍的に多くなった感じがします。
もちろん、僕自身、安定しており、大きな点ではほとんど不満の無かったサラリーマン人生を打ち切って、100%歩合制の独立起業をするには、それなりの覚悟と思い切りが必要でした。
正直、不安と怖さもありました(それ以上にワクワク感が強かったのではありますが)。
ただ、不安や懸念を何となく抱えていても、いつまで経っても踏ん切りはつかないもので、最後は自分自身で意思決定するかしないか、という点に帰着します。
”意思決定”というのは、僕のライフワーク(専門分野)でもあるところで、何となく意思決定するのではなく、合理的に客観的にするということを実は独立を意思決定する際に(その前に)実行しました。
自分自身の人生にとっての「幸せ」はどんなものか。一般論として、色々挙げてみました。
(1)家族との時間が十二分に取れること
(2)仕事での達成感1(自分の得意とするところで力が発揮できること)
(3)仕事での達成感2(会社組織での役職・出世)
(4)仕事での達成感3(世の中に広く具体的に直接貢献していることを感じられること)
(5)お金とそのお金による消費
(6)自分自身に費やせる時間が取れる状況
つまり、そのまま組織に属してサラリーマンを続けることと、独立起業して得られることを、”自分の人生のしあわせ”という観点で、上記評価軸で考えたときにどのような評価結果になるのか、ということです。
僕の場合、実験するまでもなく(3)は当てはまらないことは確信していましたので問題になりませんでした。
(3)仕事での達成感2(会社組織での役職・出世)
(1)、(2)、(4)、(6)は独立することにより、サラリーマンよりは充実することは、容易に想定することもできました。
問題は(5)です。
サラリーマンを続ければ、中長期的に十分なお金がサラリーとして入り続け、しかも年々その額はしばらくは増え続ける可能性は高い訳です。
一見、こちらのほうに軍配が上がりそうです(実際、当時の僕も盲目的にそう思っていました)。
ところが、
では自分はこれまで以上にお金をもらうことが自分の人生のしあわせに繋がるのか
という大事なポイントについて深く考えたことがありませんでした。
これは考えても答えが出るものでもなく、思い切って実証実験に踏み切りました。
具体的には、
毎月XX十万円のお金を、通常の生活費やこずかいとは”別に”必ず何かに消費すること
を自分への絶対命令として課しました(家族の同意を得た上で)。
お金を使えること、それによってモノが手に入ることで自分の幸福感が増えるのかどうか
を実際に消費を課すことで確かめたのです。これは、バーチャルに「使ったつもり」では本当の自分の感覚すら分からないだろうと思いました(実際その通りだったのですが)。
その結果、あれやこれに万単位の買い物、消費をしました。(そうでもしないと普段の生活の中では買わないものばかりです)。
その結果どうなったか・・・・
僕自身に物欲が少ない、貧乏性ということもあるかもしれません。
最初の2か月は強引に決めた額を使い切り、3か月目の半ばで本当に「お金を使う対象がなくなってしまった」のです。
自由に使えるお金が目の前にどっさりあるにも関わらず、その使い先が出てこない
という状況を自ら体験したので、「これ以上のお金は自分の幸福度を上げない」という100%の結論を出すことができました。
となれば、「お金」という点を評価軸にすることにもう意味がありません。
今思っても、自分の人生の幸福度を実体験して、腹の底から納得できる結論を出すために使った大金は本当に意味のある贅沢な使い方だったと痛感します。
何かと覚悟の要ることをやり、今に至っています。