改:第4話.恋人と友達【お化けカボチャの夢】 | 風月庵~着物でランチとワインと物語

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毎日着物で、ランチと色々なワインを楽しんでいます。イタリアワイン、サッカー、時代劇、武侠アクションが大好きです。佐藤健さんのファンで、恋はつづくよどこまでもの二次創作小説制作中。ペ・ヨンジュンさんの韓国ドラマ二次創作小説多々有り。お気軽にどうぞ。

第4話.恋人と友達

【お化けカボチャの夢『ヨンジュンのオフの過ごし方』】

ヨンジュンはハランを抱き寄せると優しい声で話し掛けた。
「僕も子供の頃、よく叱られたよ」
「いっぱい?」
「ああ、いっぱい」
「泣いた?」
「泣いたよ」
大きな手が慈しむ様に背中を摩(さす)る。
「ハランはいい子だよ。僕もルナもハランの事が大好きだ。ママもサヨンもハランの事が大好きなんだよ」
「ヨンジュン…」
ハランは甘える様に顔を擦(こす)り付けると、厚い胸へしがみ付いた。
「お化けカボチャ一緒に作って」
「お化けカボチャ?」
「ハロウィンのお化けカボチャだよ。ルナが三人で作ろうって言ったんだ」
「ランタンにして明かりを入れるのよ」
「あぁ、あれか」
愛らしい瞳が胸の中から彼を見上げる。
「分かった?」
「うん」
「ヨンジュンは作ったことある?」
「ないな、初めてだよ」
「僕も初めて」
「じゃあ、ルナに聞いて一緒に作ろうか」
「わぁ~い」
はにかむ笑顔のまま、ハランはルナへ視線を移した。
「ハラン、お昼ご飯食べてからよ」
「ルナ、早くご飯作って。早く、早く」
「はい、はい」
「僕、カボチャ見てくる」
ハランはヨンジュンの腕をすり抜けると、ベッドから飛び降りキッチンへ向かって走り出した。

「ルナ」
「ヨンジュン」
寄り添う二人は頬を寄せた。
「何時に帰って来たの」
「4時を少し回っていたかな。それからシャワーを浴びてルナへメールして、急いで寝た」
「疲れたでしょう。ご苦労様」
直ぐ傍(そば)で彼の口元が柔らかに微笑んでいる。
「でもあまり疲れたって気がしないんだ。 仕事が終わって家へ帰って来て、あぁ、今日は休みだからルナに会えるんだって思ったら、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった」
「どんな顔をして寝たの?」
「う~ん、ルナも見た事がないくらい幸せな顔」
「どんな顔?教えて」
「嫌だよ」
「教えて、ヨンジュン」
「嫌だ、恥ずかしい」
ルナは照れた彼の耳元へ、そっと囁(ささや)いた。
「私も同じ」
「えっ?」
「朝起きてメールを見たら、嬉しくて携帯抱きしめちゃった。何度もヨンジュン、ヨンジュンって言ったのよ」
「ふふ…ルナ」
彼の手が愛しげにルナを抱き寄せた。

その向こうで一度入って来た小さな足がクルリと返り、ドアの陰に隠れた。
「ハラン、隠れていないで入っておいで」
少しだけ顔を覗(のぞ)かせると、ハランはまた姿を隠した。
「子供は遠慮なんかしなくていい」
ベッドを降りたヨンジュンは、笑いながらドアの向こうへ手を伸ばした。
「僕たち、友達だろう」
抱き上げられたハランはヨンジュンを見据えた。
「ヨンジュンはルナの彼氏?」
「そうだよ」
「恋人?」
「うん」
ハランはルナの表情を垣間見た。
「恋人かぁ」
「ハラン、幼稚園で好きな子いるか」
「いるよ、いるけど…」
「うん?」
「この前スーパーカーの話をしたら全然分かんないって言われた」
「ハハハ~それは困ったな。どんな子だ?」
「ええとね、髪はあんまり長くなくて、目は丸くて笑うと可愛いんだ。それで…泣き虫じゃないけど時々泣く」
ヨンジュンは笑いを堪(こら)えた。
「誰かさんみたいだね」
「誰?」
「さぁ誰かなぁ、思い出せない。でも可愛いんだろう」
「可愛い」
「だってさ、ルナ」
ヨンジュンの後ろでルナは恥ずかしそうな笑顔を見せた。
「シャワー入るけどハランも一緒に入るか」
「いらない」
「着替えはグレーと青のジャージ、どっちがいいと思う?」
「青!」
「分かった」

恋人と大好きな友達と過ごす幸せな休日…。

次回:第5話.チーズを作ろう

(風月)