改:第3話.目覚まし配達人【お化けカボチャの夢】 | 風月庵~着物でランチとワインと物語

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毎日着物で、ランチと色々なワインを楽しんでいます。イタリアワイン、サッカー、時代劇、武侠アクションが大好きです。佐藤健さんのファンで、恋はつづくよどこまでもの二次創作小説制作中。ペ・ヨンジュンさんの韓国ドラマ二次創作小説多々有り。お気軽にどうぞ。

第3話.目覚まし配達人

【お化けカボチャの夢『ヨンジュンのオフの過ごし方』】

大きなバッグといっぱいの買い物袋を下げて、ルナとハランはエレベーターを降りた。
「ハラン、ポケットから鍵を出してくれる」
「どっち?」
「こっち、右側」
取り出した鍵を握りしめたハランはルナを見上げた。
「僕が開けるよ」
「出来る?」
「うん」
そ~っとドアを開けて。
「シーッ」
静かに静かに…。リビングへ入るとカーテンは閉まったままだ。
「ルナ、ヨンジュンまだ寝てるね」
「そうね」
小声で囁(ささや)きながら二人はそっとカーテンを開けた。

暖かな秋の日射しが、冷たかったリビングの床へフワリと広がっていく。カーテンを端まで引くと、ハランはルナの元へ駆け寄った。
「ヨンジュンを起こしに行っていい?」
「いいわよ、見つからない様にね」
「どっちだっけ」
「こっちこっち」
カチャリと鳴るドアノブの音に、ハランは首を竦(すく)めた。
「わぁ…」
「大丈夫、ぐっすり眠っているから」
抜き足、差し足…楽しそうなハランはベッドへよじ登った。
「ハラン、足…足」
指差すルナの笑顔を見てハランは足元のブランケットを持ち上げた。

クスクス…クスクス…ハランの指が大きな足を擽(くすぐ)っている。
「くすぐったい…」
寝ぼけた声が足を竦(すく)めた。
「ヨンジュン!」
「うん、何だ?」
身軽なハランはポン…と跳び跳ねると、ヨンジュンの胸へ飛び込んだ。

「うっ」
「ヨンジュン、何時まで寝てるんだ」
「あれ…ハラン、ハランだ!」
今度は太い両腕が可愛い身体を抱きしめる。
「わぁ、痛いよ~ヨン ジュン」
「ハハハ…ルナと来たのか」
「そうだよ」
大きな欠伸(あくび)をしながら、それでもハランの頭を撫で続けるヨンジュンへ、ルナはミネラル水のボトルを手渡した。
「おはよう、ヨンジュン」
「おはよう、ルナ」

一気にボトルを飲み干すと、ヨンジュンは強引にルナを抱き寄せた。
「う~ん、ルナぁ」
頭の上のキスの音にハランは顔を上げた。
「あ…ヨンジュン、ルナにキスしてる」
「ハランもして欲しいのか」
「イヤだ」
「何でだよぅ」
「僕いらない。わぁ~!」
フワフワの頬へキスをされ、ハランはジタバタと暴れ出した。
「ヨンジュン、お髭が痛いよ」
「ハラン…ハラン…ルナ」
二つキスをしたら夢心地のままもう一度ルナへキスをして。
「ほら、二人ともギュ~だ」

強く抱きしめた腕を弛(ゆる)めると、ヨンジュンはハランを覗(のぞ)き込んだ。
「ハラン、サヨンは元気か」
「うん、まぁ」
「どうした?何処か痛いのか」
ルナは項垂(うなだ)れるハランの手を取った。
「大丈夫よ」
「どうしたの」
「僕…」
ハランは口唇を噛みしめると、すがる様にルナへ視線を移した。
「私が話すわ」
「何かあったの?」
「喧嘩してね、転んだサヨンの額(ひたい)がちょっと切れたんですって。だからママに少し叱られたのよね」
「そうか、それでルナと一緒に来たのか」
しょげるハランをヨンジュンは優しく包み込んだ。
「大丈夫だ、僕が一緒にいるよ」

次回:第4話.恋人と友達

(風月)