僕は、辛いものが苦手だった。

正直、何が楽しくてあんなに辛いラーメンを食べるのか、分からなかった。


そんな僕を、ある日、友人が深夜の池袋にあるラーメン店へ連れて行った。

飲んだ帰り、渋々ついて行ったのが——「蒙古タンメン中本」だった。

今から10年以上前の話だ。


冷房の効きが悪い厨房で、ひとりの青年が黙々とラーメンを作っていた。

最初は辛くないメニューを頼んでいた僕も、いつしか彼の作る限定メニューに惹かれるようになった。


辛い中にも旨みがあって、食べるたびに印象が残る。

その味に、次第に“ファン”になっていった。


やがて彼は池袋から御徒町の店へ転勤し、僕はその味を追って通い続けた。

——そして月日が流れ、10年後。

その青年は柏の地で、自分の店を暖簾分けで構えることになった。


そして、さらに7年の時を経て、

今度は僕が「スキマゴルフ豊四季店」として独立した。


「君みたいに、自分の仕事を立ち上げたんだ」

そう言って、僕はチラシを手渡した。

彼はにこやかに「おめでとうございます」と答えてくれた。


上手くいくかどうかなんて、わからない。

でも、“やる”と決めた。


今日、久しぶりに彼の店を訪ねると——

なんと、蒙古タンメン中本 柏店の壁に、スキマゴルフ豊四季店のチラシが貼られていた。


その瞬間、辛いラーメンの熱さと、

彼の気持ちの温かさが胸にしみて、涙が出た。


あの時、池袋で出会った青年が、

いま柏の地で僕を応援してくれている。


“辛さの中にある旨み”と同じように、

挑戦の中にも、支えてくれる人たちの温かさがある。


——僕は、まだまだ頑張ろうと思いました。