ロータリーエンジンに対する世界の評価
「ダメなエンジンである。 モノになる筈がない」。
- - マツダが実用化する - -
「実験室では回るだろうが、実用に供されることはないだろう」。
- - コスモスポーツに搭載される - -
「一部のスポーツカーには積まれても、乗用車に積まれることはあるまい」。
- - ファミリアロータリー、カペラなどに搭載される - -
「ロータリーエンジンは燃費が悪い」。
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ロータリーエンジンが積まれた車が、ポルシェのようなスポーツカーだったら、燃費云々の評価は出なかった。
なまじ乗用車の形をしていたため、スポーツカーと同じ性能を持ちながら、大衆車としての燃料経済性が要求された。
その悪評を打破しようとマツダが考えたのは、「インディアナポリス500マイルレース」に出ることだった。
インディを走るレシプロエンジン車の燃料はアルコール。
ガソリンに比べて出力が1割近くアップするが、2倍近くも燃費が悪い。
ロータリーエンジンを使ったガソリン車でインディを走り、「そこそこの速さ」と燃費の良さをアピールしようと考えた。
そこそこの、速さ ?
なぜ、ぶっちぎりの速さではいけないのか?
レシプロエンジンが世界中を席巻している現在、ロータリーエンジンは「異質なエンジン」の位置づけ。
インディを走った「異質なエンジン」は、過去にもあった。
悲劇の、ガスタービン車。
1967年、アンディー・グラナテリが乗る車番40のSTPガスタービン車は、2位に52秒という圧倒的な差をつけていた。
ゴールまであと10マイルの時点で、僅か6ドルのベアリングが壊れて、停まった。
「異質なエンジン」の登場に慌てたUSACは、空気取り入れ口の面積を23.9平方インチ以下に制限し、またすぐに15.999平方インチ以下とした。
エンジンとドライバーの横並び規制やタイヤの直径規制など、次々にガスタービン車に対する嫌がらせとも思われる規制が付与される。
しかし、アンディー・グラナテリは挑戦を続け、1968年は予選1・2位を占めた。
本レースも終盤ではトップを走っていたが、ゴールまで僅か9周の時点で停まった。
翌年USACは、ガスタービンエンジンの空気取り入れ口を11.999平方インチ以下に制限し、更に四輪駆動も禁止。
完璧なまでにガスタービン車は出場できなくなった。
ロータリーエンジンが出場して良い成績を残せば、当然のことながらUSACのロータリー潰しが予想される。
しかし、レースとは速く走るもの。
やるせない、葛藤 ・・・・
出場するドライバーは、神保光太郎。
若いが貧乏レーサーで、壊れてからでは高くつくアペックス・シールがダメになる直前にエンジンを止めるなど、ロータリーエンジンをよく知っている。
初めてのインディのコースで、神保はスピードが出せずにあせっていた。
ルーキーテストを通過した神保は、前を走っていた2台が接触したのを見て、思わずハンドルを左に切った。
それでも、ロータリーエンジンのインディカーRX500は、安定した走りで応えてくれた。
「この車の限界は、もっともっと上にあるのだ。 おれはインディに呑まれていた」と、神保。
予選の最終カーブで、神保はクラッシュする。
しかし、車が停まると素早く降りて、外れたタイヤをコロコロと転がし、スタンドに手を振るほど余裕があった。
いよいよ本レース。
神保は ?
ロータリーエンジンを積んだロードスターで参加した、ジム・ハーチュビスは ?
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ウ~~ン、この本が出たのは昭和52年。
インディ500という言葉は聞いたことがあるけれど、ただただ大きいオーバルコースだと知ったのは、この本からだった。
最近は、テレビでもインディカートを放映している。
インディーカーは、F1と比べると遙かに安全な設計。
F1は外側にエスケープゾーンやタイヤバリアなどがあるが、インディーはいきなり壁!
時速350キロで走る車だけに、ちょっと接触しただけで大クラッシュ。
だから、安全対策も凄い。
バンクでクラッシュした車が、スピンしながら中央に落ちてくると、車が停止するより前に消防車や救急車が到着する。
燃料がアルコールだから、火がついても煙が出ない。
だから、消火器を持った人は給油口ではなくて遠くの景色を睨んでいる。
景色がフラッと揺らいだらすぐ、火がついたことを知って消火器を使う。
FISCOを220キロで走る車を見ていても怖いのに、350キロとは、、、、、、
いったい、どんな世界なんだろう?
一度、観戦したいものだ。