彼女は2週間、

隔離病棟の個室で過ごさなければならなかった。

薬が抜けるまで鉄格子のある部屋で。

写真で見せてもらったが

そこには、布団と便器しかなかった。



彼女の離脱症状は酷く

結局3週間に伸ばされた。



それからやっと普通の部屋になった。

ルールは厳しく

そんな中で彼女は頑張っていた。



病院へ足を運んでもなかなか

彼女には会えなかった。

いつも彼女の様子を聞いて帰っていた。




しばらくして、

薬が抜けて

穏やかな彼女が戻ってきた。

安定剤も飲んでいたせいか

とても落ち着いてきたみたいだった。




ある日、公衆電話から電話があった。

出てみるとそれは元気そうな彼女の声だった。



お母さん見舞いに来てくれへん?

その時にハンバーガーを買ってきてな。

久しぶりにエビバーガーが食べたいねん。



うん。いいよ。

今すぐ行くから待っててな。



うん、待ってるから。



病院へ着き、隔離病棟へ向かった。

そこはセキュリティがしっかりとしていて

私は看護師とモニター越しで

見舞いに来た事を伝えた。



やっと扉が開いた。



奥へ進むとまたさらに扉がある。



ガラス張りの扉の向こうに

何人もの女の子が立っていた。

じっと私を見る。



その奥から彼女が出てきた。

とても笑顔で嬉しそうにニッコリ笑った。



私たちは個室へ通され

机にハンバーガーとおやつと飲み物を広げ

色々な話をした。



退屈だろうから、

本と日記の差し入れをした。



あんた、今は難しい本は無理やから

ウォーリーを探せを買ってきたよ。


わぁ!懐かしい!

これ子供の頃よくやったわ!

ありがとう😊



色々ごめんな

ここ出たら警察に行かなあかんけど、

しばらく犬はお父さんが見てるから

ありがとうな。

頑張ってくれて。


あれはお父さんが悪いねん。

お母さんは悪くないよ。

私も悪かったし



思わず涙が出てきた。



目の前の彼女がとても愛しく感じた。



しばらくして

看護師が来て

彼女は連れて行かれた。



お母さんまた来てな



元気に手を振る彼女だった。