今頃になってやっとお袋も事の重大さ、事態の異常さに気付いたみたいだ。あれ程こちらに来れば「それこそお終いだ」と忠告しておいたのに。あの時は親父が病気で倒れ、家計の先行きも不透明で不安から逃れたい思いで一杯だったのだろうが。
「苦しんでいる時に娘を頼って何がいけないの?」って言ってたけど、今オレが受けている仕打ちを目の当たりにして又自分たちは間違いを犯した事に気付いたんだね。
親父が死んで毎日これからの事を考えていてようやっとわかったのだろう。しかし今更「やっぱり東京に帰りたい」だなんて…。出来ればオレだってそうしたい。
今日は訳あって元の家に荷物を取りに来た。夜勤明けで殆ど睡眠をとらずに電車で片道二時間。やはり遠い‥遠すぎる。
毎日ベルトコンベアから流れてくる品物を十二時間、立ちっぱなしで処理する単純作業。勿論ロクな事考えない。それでいて作業スピードを求められニッパーを一日中握る手はマメだらけになり仕事終わりには拳も握れない。休日出勤も強要され賃金も最低。クタクタな毎日。ある程度予想はしていたが想像以上のブラック度。人生を失敗した人間のこれが末路か。
東京の叔父に「帰って来て近くに住めば」と言われたらしいが‥また人に言われるまま、後先考えずにあっちへフラフラこっちへフラフラするつもりかい?
お袋の老後を考えると、妹夫婦か叔父の近くに住むのが良いのだろう。孫たちの存在が笑顔の元になる日も来るのだろうし。
オレ一人ではお袋を幸せにしてあげるのは難しいかもしれない。