霧だ。一寸先も見えないとはこの事だ。レーダーには何も映っていない。出来ればこのままエンゲージなしでオートパイロットに任せて飛んでいたいものだ。軽いGを感じながら少しだけ首をまわし視線を横に向ける。特に何も見えない。カナードからは時折ヴェイパーが見える。アーマメントはセイフティのロックを示している。ナビはいない。音の無い世界で独りぼっちだ。にしても‥やはり霧が深い。高度計がなければ自分が真っ直ぐ飛んでいるのか怪しく思えるくらいだ。サイドスティックに置いた手も意味の無い事のように感じる。燃料計のメーターが減っていくデジタルの数字だけが時間というモノを時折感じさせてくれる。他の計器に目を配るが異常を示すものは何もない。…?!衝撃!機体が激しくブレる!敵機?!だがレーダーには何の反応もなかったハズだ。被弾箇所は?高度が落ちてる。警報ががなりたてる。「You have control」オレはサイドスティックを握りしめ機体を加速させた。