ヨリコは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の元を暴かねばならぬと決意した。
ヨリコには家造りがわからぬ。ヨリコは一介の主婦である。
家事を行い、仕事をして暮して来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
糾弾せねばならぬ
問い詰めねばならぬ
責任の所在を明らかにせねばならぬ
断じて許しがたき兇状である事を解らせねばならぬ
私は激怒した。
なぜ我が家の浴室の換気扇は引き渡し時から動かなかったのか。
そして再三の確認にもかかわらずスルーされていたのか。
この一年、通常なら必要ない浴室の掃除に費やされた労力と時間を返して!
乾かない洗濯物を処理していた時間を返して!
室内の空気が2時間で入れ替わる換気量とか、そんなのはどうでもいい。
浴室の綺麗を保つ為に私が使った労力と時間、
それらを全て返せ
引き渡し日からちょうど一年が過ぎたその日、本来なら顔をもう見る事もないはずの現場監督バンビちゃんが電気技師と共に来る事になりました。
朝9時半に待ち構えていると、ぞろぞろと車が3台くるではないですか。
は?
聞いてませんが?
やって来たのは
・工事部課長
・現場監督バンビちゃん
・工務店の社長(毎度お世話になってまーす)
・電気屋さん(お初でーす)
・電気屋さんの親方(わー親方も来るんだ)
・乾燥機メーカーの営業(え、弊社微塵も悪くないって言い切ってたじゃん)
さらに、この日は寝室天井の防音工事でしたので、
アフターサービスさんが2名
大所帯
しかも一斉にじゃなくてバラバラ来る。
こんなに沢山来るなんて聞いてないよ。
バンビちゃん、前もって何人来るか言ってといつも言ってるじゃないか。
駐車場の確保とお茶の準備ができないでしょう。
このメンバーの中で電気屋さんと言えば。
施主支給の2階洗面所の照明が設置できなくて突っ返されそうになり、電気屋さんを替えたら設置が出来たという曰く付き。
初めてお会いしましたけど、いきなりタメ口。
でっかいワゴンをうちの敷地にむりむり突っ込んで止めました。
そして開口一番。
「この家ってアレでしょ?トラブルばっかでまともに建たなかったんでしょ?
電気の配線図もおかしかったしさー部材もまともに届かなくて、現場来ても何も出来なかったりさ、酷かったんだよなー」
ほほう。
そこ詳しく。
「とにかくミスが多くてさ。ほんとやべえよ」
それからそれから?
「今更換気扇がやばいって聞いて、とばっちりだよ」
いや、施工したのお前さんだろ?
それよりミスが多い部分をもうちょっと話してくれない?となった所で、年配の親方がやってきて深々と頭を下げました。
「この度はご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」
あぁバンビちゃん達も最初に言うべき言葉はこれだった。
いつもどおり「おはようございます!」と元気にやってくるのは良いのだけど。
ちなみに親方はうちに玄関に脱ぎ散らかした皆さんの靴をそろえてました。
上に立つ人って、そういう事だよね。
そのまま総勢5名(乾燥機メーカーの人はまだ到着していなかった)が我が家の狭い浴室にぎゅうぎゅうに入り換気扇が動いていない事を確認。
ねえ、何人で確認すれば気が済むのかしら。
そこへ乾燥機メーカーの人が到着。もううちの敷地に車を止める場所は無いわ!
バンビちゃんが「その先に路駐するので大丈夫です」って
大丈夫じゃない!!
人様の家に前に止めるんじゃない!
慌ててそちらのお宅へ行き、少しの間だけ止めさせてもらう事をお願いしましたよ。
だから事前に何人、車は何台で来るのか言えと言っているのだ。
さて、乾燥機メーカーの人と入れ違いに課長は帰っていき(顔出しただけかい)
浴室の人口密度が朝の丸ノ内線四谷駅付近の状態となった所で、私は腕を組んでキッチンからそれを眺めておりました。
ぼそぼそとする内緒話を聞き逃さない為です。
取り外された浴室乾燥機はヒューズが飛んで、基板が焦げてました。
焦げ・・・一歩間違えは火事ぃっ??
本日のサムネイル
ある野望の為育てているシマトネリコの苗
YouTube「こじらせハウス」のアキさんにちなんで、
籠の左からネリ子、ネリ美、ネリ代の三姉妹です