6月21日


アビスパ福岡0-2ツエーゲン金沢


5分水永(金沢)、74分水永(金沢)、







金沢戦はアビスパが早い時間に
セットプレーから失点してしまい
金沢の守備ブロックも崩せず
金沢の狙い通りに進んだ試合でした。




5分の不運なセットプレーからの失点も
試合に大きな影響がありました。

金沢のボランチ山藤は
この試合再三に渡ってセットプレーで
素晴らしい精度のボールを蹴っていました。

FW佐藤がGK神山の前に立ち
神山の動きが制限され守備範囲が狭くなり
山藤のニアのグァンソンや濱田、
城後の頭上を越えてエリア中央に落ちて来る
質の高いボールを
神山が飛び出てキャッチする事が
出来ませんでしたが

幸い中央を守っていた中原貴之が
相手より先にさわりますが
無理を体勢からだったので
クリアが小さくなります。

しかしそれも味方の濱田の方へ飛び
それを濱田がヒールでゴールラインに出して
逃れようとしますが
ポスト付近にいた末吉に当たって
エリア内に戻って来てしまいます。

それが今度はエリア内中央の
金沢のチャ・ヨンファンの下にこぼれてチャ・ヨンファンが至近距離から
シュートしますが
これは神山がなんとか反応して弾きます。

ところがそのこぼれ球も
金沢のFW水永の下にこぼれてしまい
水永がシュートを決めて得点しました。

ゴール前で混戦になると
何が起こるか分からない良い例だと
言えます。



金沢は立ち上がりアビスパが
入りが良くないチームであると見ていたのか
それとも最近勝利が無く
積極性を取り戻す狙いがあったのか
分かりませんが
守備ではDFラインを上げてリスクを負って高い位置からプレスを掛けて
攻撃ではロングボールではなく
ボールをつないで来たので
アビスパはパスカットから
金沢の浅いDFラインの裏を使った
チャンスがたくさんありました。

相手は失点の少ない金沢ですが
早い時間に同点に追い付ける可能性がある
試合展開だったと言えます。



しかし6分の金沢のCKのこぼれ球を
亀川がスピードを活かして相手より早く拾い
前のスペースにコントロールして
作ったアビスパのカウンターのチャンスも
亀川のアシストの質の低さで
得点出来ませんでした。




また17分の
グァンソンのパスカットから始まり
鈴木惇のタテパスを
金森がコントロールで足下ではなく
ボールをスペースに置いて前を向き
足下に飛び込んだCB太田をかわして
フリーランニングで裏を狙った中原貴之に
金森からパスが出たチャンスも
そのパスが弱く中原貴之を追い掛けていた
チャ・ヨンファンにヒールで
カットされてしまいます。



そしてピンチが続いた金沢は
30分くらいからDFラインを下げて
低い位置にブロックを作り始めます。

ここからアビスパのチャンスが激減して
得点の可能性が一気に少なくなりました。


30分以降は讃岐戦と
全く同じ展開になります。




引いた相手からどうやって得点するのか
アビスパに再び同じ課題が
突き付けられました。


引いた相手から得点するのは
どんな事をしても難しいので
基本的にチャンスの回数を増やす事が
大事になってきます。


相手が引いている中でチャンスを増やすには
DFラインとボランチが
激しいプレスを受けないと言う部分を
最大限に活かして攻撃するべきです。





5バック対4バックなので
サイドチェンジすれば
逆サイドでWBが必ずフリーになりますが
そのフリーを活かせませんでした。

亀川がドリブルで仕掛けたり
阿部が早いタイミングでDFとGKの間に
クロスを送りDFに後ろ向きで対応させて
CKを奪ったり
中の選手がニアで合わせたり
WBがフリーであれば
このような場面を繰り返し執拗に仕掛けて
チャンスの回数を増やせたはずです。



金沢もボランチとDFの部分を
自由にさせない事を重要視していて
アビスパのボランチには
金沢のFW水永と佐藤が
遅れながらもプレスに行き



ブロックの間で金森が受けて
ドリブルを仕掛けたり
中原貴之が受けてポストプレーをしたり
ファウルを貰うプレーにつながる
アビスパのストロングポイントである
鈴木惇からのワンタッチのタテパスを
入れさせないようにしていましたが
激しいプレスではありませんし

サイドチェンジを行えば
鈴木惇と末吉のボランチは
フリーでボールを持てました。



またアビスパのDFラインにも
左右のDFグァンソンとコ・ジュンイが
ボールを持つと
金沢の左右のSH清原と大槻が
遅れてプレスに来るので
3バック間でのサイドチェンジを怖がり
ボール回しが遅れてしまい
味方をフリーにしたり
逆サイドにスペースを作ったりする
プレーが少なくなり結果として
後ろのボール回しの遅さが
前の選手が良い状態で持つ機会を減らし
チャンスの回数を減らしていました。


そこで冷静になり
こちらのDFに
金沢の中盤が食い付いてくれるのだから
引き付けてスペース作って
そこてWBやボランチが受けて
使えばよかったと言えます。

大宮の和田や家長やカルリーニョスが
そうしていました。



鈴木惇と末吉がマークがきついと
ブロックの間の味方に
タテパスを入れられない
金森のドリブルも
中原貴之のポスト(ファウルを貰う)も
減ってしまいます。




3バックで回せないならWBが下がるか
サンフレッチェ広島や浦和レッズが
やっているように
攻撃の時に末吉などボランチが下がって
4バックになってもよかったでしょう。

こういう試合でこそ
足元が上手くボール回しの質を上げて
高い位置に上がってからも
効果的なくさびのパスや質の高いクロスを
入れられる堤の良さが活きたはずなので
出番が無かったのは残念でした。


金沢はアビスパのチャンスの回数を減らす
守り方をしていましたが
ただ金沢の追加点の可能性も少なくなり
金沢はFWが1人外せる選手がいないので
サポートが少ない中では
チャンスを作る事すら厳しい状況でした。


その中で金沢の明確な狙いが1つあり
清原の高さを使って
アビスパにチャンスをたくさん作られる
押し込まれた状況を
それで押し返してチャンスの回数を減らす
場面が数多くありました。

普通は高さに強いFW水永を使いますが
ロングボールを水永に入れると
グァンソンか濱田が対応するので難しい
清原は水永より高さは無いですが
右サイドで相手が阿部なら
高い確率で勝てると踏んで
あえて水永でグァンソンと濱田を引き付けて
清原で阿部を狙ってきました。

実際に阿部と清原では
高さでミスマッチになっていて
阿部がぜんぜん勝てない状況で
そのハイボールが効いて効いていました。

アビスパとしては
金沢の前人数も少ないので
左DFコ・ジュンイがズレて対応しても
よかったと言えます。




後半も殆ど讃岐戦と同じ展開になります。

ブロックを作って引いて守る相手には
プレスが掛からないボランチの
サイドチェンジからのアーリークロスや
ドリブルやワンツーなどが有効ですが

もっとアビスパが
有効にサイドを使えていれば
相手がさらに下がり
ボランチが高い位置でボールを持ち
ミドルシュートのチャンスも
増えていたはずです。




相手の自陣にブロックを作り足を止めた
ゆっくりしたテンポに合わせてしまい
攻撃のスイッチを入れるフリーランニングが
少ないので
ワンツーなどワンタッチを絡めた攻撃が
少ない事がさらにチャンスの回数を
減らす事につながりました。

なのでフリーランニングを数多く仕掛けた
亀川が絡んだ時にチャンスが
生まれていました。

亀川がサイドで受けた時に
全てドリブルで仕掛けていましたが
味方が持っている時に亀川が
フリーランニングでサポートするだけでなく
亀川がボールを持っている時に
亀川のパス&ゴーから
ワンツーを入れていれば
もっと金沢は対応が難しくなったでしょう。

アビスパ側で高さで清原と阿部の
ミスマッチがあったように
金沢側でも亀川とチャ・ヨンファンで
スピードのミスマッチがあったので
もっと活かせるはずでした。





讃岐戦の沼田の得点のように
ブロックを作っている相手には斜めに動く
フリーランニングが面白いように効きます。

足を止めてブロックを作って
スペースを消す守備をしているので
相手のフリーランニングに出遅れますし
斜めに動かれるとさらに
マークの受け渡しも難しくなるからです。

もっと後ろのボール回しを工夫して
フリーでボランチやDFが良い状態で
ボールを持てる場面を増やし
そこから中原貴之が下りて来てCBを釣って
入れ代わりにシャドーの城後と金森が
裏に抜ける動き出しを増やしていれば
足を止めてスペースを消している
金沢のDFの裏を取れたはずです。



相手のテンポに合わせてしまうのではなく
自分達でテンポを作れるようにならないと
引いた相手からチャンスを数多く作る事は
難しいでしょう。


金森と中原貴之は無理が効く選手なので
足下にもっと強引に
ワンタッチでパスを入れても
よかったかもしれません。

テンポチェンジのきっかけは
フリーランニングとワンタッチパスなので
引かれた相手には
意図的に数多く仕掛けても
よかったでしょう。





流れから得点出来ないなら
クロスなど
直接ゴールに向かうプレーだけでなく
相手に当てて
タッチラインやゴールラインから出す
セットプレーを奪うためのプレーも
必要だったと言えます。


全体的には金沢がもっとコンパクトに来ると
考えていてアビスパは
ロングボールからDFラインの裏を狙う
攻撃が多く単調になってしまい
裏狙いの前線と
プレスを嫌がるDFラインの間が開いて
間延びする現象が起こり
中盤のセカンドボール争いで
不利になっていました。



またロングボール入れた時に
ほぼ中原貴之が勝っているのに
DFラインの押し上げが弱く
セカンド金沢に渡してしまう
場面が数多くあり
ロングボールを入れてセカンドを拾い
前にボールをどんどん押し込んで行く
アビスパの得意な形が作れませんでした。



74分の金沢2点目の場面が象徴的ですが
金沢は引いて守って攻撃の人数が少ないぶん
清原、佐藤、山藤、秋葉などが
セカンドを拾ったコントロールを
足下ではなくスペースに運ぶので
そこでアビスパのセカンドを狙っていた
選手を外してプレスかわし
鋭いカウンターを仕掛けていました。




引いた相手を崩すのはビルドアップ出来るチームでも難しく
ビルドアップを課題とするアビスパは
もっと早くロングボールで
ゴール前でこぼれ球という場面を
作った方が得点の確率は高かったはずです。

相手にとって1番嫌だったのは
ゴール前のシーンをたくさん作られる事で
金沢のCKからアビスパゴール前に
混戦を作り出して奪った1点目が
良い例です。

阿部と金森やDFの1人と代えて
酒井や坂田や堤を投入して
75分以降4バックに以降しても
面白かったでしょう。

相手は引いて2点差で
チャンスもたくさん作れていない状況では
80分くらいからグァンソンを上げて
パワープレーを仕掛けてもよかったかも
しれません。



アビスパは前からプレスを掛けられると
岡山戦、栃木戦、徳島戦みたいに
上手くプレスをかわすボール回しが
出来ていないので苦しみますし

引かれると讃岐戦や金沢戦のように
攻撃のバリエーション、コンビネーションが
少なく
チャンスをたくさん作る形を作れません。


とにかく失点を抑える事だけを考えて
1-0で勝っていた
3連敗以降の試合とは違い
ビルドアップに挑戦し始めた最近の試合では
立ち上がりの失点や複数失点も
増えています。



負けないだけのサッカーから
勝ち点3を奪うサッカーに変わる
難しさですが

典型的なセンターフォワードで
フリーランニングを呼び込むタメが作れて
ボランチに前を向いてボールを落とせる
ワンタッチパスにつなげられる
ポストプレーが得意な
ジュビロ磐田のFWジェイ・ボスロイドと
似たタイプの
FWウェリントンが加入した事は大きいと
言えます。



ウェリントンが昨年の湘南ベルマーレ時代の
パフォーマンスを見せてくれたら
高い位置でボールが収まるので
フリーランニングも増えて
ワンタッチパスも増えて
攻撃のバリエーションが拡大して
得点力は間違いなく上がるはずです。

しかし今の状態では
前からプレスを掛けられると
ウェリントンにボールが入らない
可能性が高いと言えます。

後ろの選手の人の問題と言うよりは
チームとしてのボール回しの改善に
取り組まないと
足元の上手いDFを補強しても
あまり変わらないでしょう。