4月26日
アビスパ福岡2-2FC岐阜
26分レオ・ミネイロ、40分城後、
59分岡根、66分中原貴之、
お互いロングボールとハイプレスで
失点しない事を優先して
球際で激しくぶつかり潰し合う
固い試合になりました。
前半から岐阜は
高い位置からの激しいプレスで
アビスパのハイボールの起点を潰し
ファウルを厭わない激しい球際の強さで
こぼれ球を拾うと
DFラインからのロングボールで
アビスパのDFラインの裏を
FW難波とレオ・ミネイロと言う
スピードのある2トップに狙わせる
スタイルを徹底してチャンスを作ります。
アビスパはあまり前からプレスに行かず
攻撃は失点のリスク減らすためだけでなく
岐阜の前からの激しいプレスで
ボールを落ち着かせる事が出来ず
ロングボールを多用していると言うより
ロングボール頼りになっていました。
激しいプレスの潰し合いの試合は
大分戦や水戸戦などありましたが
普段はボランチの末吉が
バタバタしている展開で
こぼれ球を拾った時に
タテに急がず相手を引き付けて
サイドに預けて落ち着かせるプレーを
していましたが
この岐阜戦では末吉ではなく
中原秀人がボランチに入っていて
中原秀人もクレバーな選手ですが
試合出場が開幕戦以来だった事もあり
この試合では自分のプレーに
精一杯になってしまい
全体の事を考える余裕がないように
見えました。
また今までの試合と違い
中原貴之に競り合う岐阜のDF高木と岡根が
J1レベルの高さを持つ選手で
ハイボールを跳ね返される場面が
多かった上に
岐阜のボランチ苅部と水野が下がって
中原貴之を挟み込む対応をして
こぼれ球を岐阜に拾われてしまい
そこからスピードのある
難波とレオ・ミネイロを
シンプルに走らせる攻撃を受けて
アビスパは苦戦を強いられます。
アビスパのDFは遅くはないですが
スピードが特長ではないので
裏を使われてDFラインが下がり
ますます中原貴之が孤立しました。
岐阜はファウルが多く
FKの機会はたくさんありましたが
得意のセットプレーでも
普段ターゲットとして活躍する
グァンソンが岡根に抑えられ
濱田に高木、中原貴之に益山、城後に苅部、
堤に阿部としっかりとマークされて
苦しかった上に
鈴木惇のキックの質が
普段より不安定だった事と
サインプレーなどの工夫も無く
なかなかチャンスにつながりません。
岐阜はボランチが中原貴之と
城後、金森の対応のため前に出て来ないので
攻撃はFW2人と
時々トップ下の高地が絡む程度で
失点しない方に人数を掛けていました。
そんな展開の中で先制点は岐阜に入ります。
立ち上がりの1分に
右サイドに下りてボールを受けた難波から
DFラインの裏にランニングした
レオ・ミネイロの前にパスが出ます。
神山が飛び出してクリアしようとしますが
レオ・ミネイロに付いて
下がりながら対応していた濱田が
神山はエリア内から出ていないと勘違いして
ヘディングでエリア内にバックパスします。
このままでは神山と
バックパスのボールが入れ替わって
レオ・ミネイロにがら空きのゴールに
シュートを決められてしまうと判断した
神山がエリア外で故意に手を使い
ハンドでパスを止めてしまいます。
抜けていれば決定機ですから
通常であればレッドカードで退場になってもおかしくない場面でしたが
主審はイエローカードを選択します。
恐らく1分と言う時間帯もあり
ルールより試合を壊さないと言う判断を
優先したのだと思います。
この場面は助かりましたが
何度かハッキリしない対応が続き
26分についに先制点を奪われます。
岐阜の右スローインを
難波がヘディングで前にそらせて
レオ・ミネイロにつなごうとしたボールを
グァンソンがレオ・ミネイロの前に出て
カットしようとしますが
バウンドが変わり大きく跳ねてさわれず
グァンソンとボールが
入れ替わってしまいます。
残っていたレオ・ミネイロが
前を向いてボールを受けて
慌てて追いかけて来たグァンソンと
競り合いながら
ファーストタッチは左足で
次のタッチでシュートを打てる
完璧な位置にコントロールして
2タッチ目で今度は右足のアウトで
キックモーション無しの
ランニングしながらの自然なフォームで
飛び出した神山の脇を抜いてニアに転がし
ゴールを決めました。
神山はニアを消しつつも
左足でファーを狙うコースにも反応出来る
飛び出しがでていましたが
突然キックモーション無しで
右足に持ち替えて
あのタイミングで右足アウトで
ニアを抜かれるのは
予測出来なかったはずです。
失点のきっかけは
イレギュラーなバウンドの不運でしたが
レオ・ミネイロのゴールは
技術と駆け引きを駆使した
素晴らしいゴールでした。
しかし、アビスパも
すぐ同点に追い付きます。
40分に右WB北斗の右足での切り返しで
相手をかわし
右サイドから左サイドへの
この試合初めてのサイドチェンジが入り
サイドを有効に使った攻撃が
きっかけになります。
左WB亀川が高い位置で受けて
良いタイミングでサポートのDF堤に落とし
堤からバイタルの中原貴之にくさびが入り
中原貴之がワンタッチで裏の城後か亀川に
パスを送りますが
これはDF阿部に跳ね返されますが
中原秀人がこぼれ球を拾い再び堤へ
堤がルックアップした時に
城後が中原貴之にくさびが入った
ポジションから
再び動き直してニアに飛び込みます。
そこに堤から右足で岐阜のDFの頭の上を
越えてGKの前に落ちる
素晴らしい精度のクロスが
城後の動き出しに合わせて入り
それを城後がGKの目の前で
ヘディングでコースを変えて
ゴールに流し込みました。
堤が高い位置に上がって
外から中央への質の高いパスで
サイドで攻撃の起点になり
チャンスを演出するプレーは
堤がSBで出場した試合では
よく見られましたが
今年はCBではなく
3バックの左DFで出ていて
得点力に直結するプレーになるので
もっとたくさんあってもいいと思いますが
今は失点を減らす事を優先させているので
仕方ないのかもしれません。
前半は岐阜ペースで進み
先制点も許しましたが
何とか同点に追い付いて
後半を迎えます。
アビスパは前半に
岐阜の2トップ難波とレオ・ミネイロの
スピードに苦戦したのと
DFラインの裏へのボールの守備陣の連携が
悪かった事もあり
後半から岐阜の2トップにロングボールを
供給していた高木、阿部、富士たちに対して
ボールの出所を抑えるため
高い位置からプレスを掛け始めます。
岐阜は精度の高いロングボールが
DFラインの裏に入らなくなり
2トップのスピードを
活かせなくなりました。
岐阜の2トップはスピードはありますが
高さは強くないので
高さに強いアビスパのDFが跳ね返して
後半は岐阜はチャンスすら作れなく
なります。
岐阜も後半から手を打ってきます。
中原貴之の対応を強化するために
ボランチにフィジカル能力の高い
ヘニキを投入して
岡根、高木、阿部、苅部、ヘニキと
高さに強い選手を増やします。
岐阜の前からの激しいプレスをかわせず
中原貴之へのハイボール頼りになっていた
アビスパはさらに苦しくなりました。
岐阜は高さに強い布陣ですが
スピードに不安がある選手ばかりなので
後半の早い時間帯に
スピードがあり裏への動き出しの質が高い
坂田を中原貴之に代えて投入していれば
例え直接チャンスは作れなくても
岐阜のDFラインを下げさせて
アビスパを苦しめていた
高い位置からのプレスを弱める事も
出来たはずです。
中原貴之では質の高い裏への抜け出しは
あまり期待出来ないので
岐阜の高さ勝負に正面から当たるのではなく
高さに力を割いた分弱くなったスピードで
勝負していれば展開は変わったはずですが
井原監督は戦い方を変えず
前半と同じような展開が後半も続きます。
激しい潰し合いの膠着状態の中で
突然試合が動きます。
そういう時はやはりセットプレーか
ミスから動くものですが
岐阜の2点目はその両方が絡んで
生まれました。
58分にアビスパが
前からプレスに行きますが連動性がなく
岐阜のDFラインで
足元のパスをつながれてかわされ
右DF阿部からロングボールが出て
高い位置からプレスに行くために
高く上げたDFラインの裏を
難波に突かれます。
難波が右サイド裏でキープしてつないだ所で
濱田が雑なプレーで不用意にアフターで
足を出してしまい難波を倒し
ファウルを取られます。
あの状況で1対1であのタイミングで
無料にボールを奪いに行く必要は
ありません。
まして岐阜は高さがあり
左足で質の高いボールを蹴る高地がいる事を考えると不用意と言えます。
試合展開に何となくイライラして
奪いに行こうとした所でかわされ
足は止められたはずですが
惰性で倒してしまった印象です。
59分右サイド深い位置のFKを
キッカーの高地がファーに送ります。
何でもないボールでしたが
GK神山が目測を誤り
高地のボールが伸びて
キャッチするにはボールが高過ぎると
判断した神山は
急遽キャッチから
自分の頭の上を超えそうなボールを
両手で掻き出すプレーに切り替えますが
小さく掻き出すのが精一杯で
さらに正面に掻き出してしまいます。
セットプレーで岐阜の選手も
たくさん近くにいるので
当然目の前にいた岡根が反応して
ヘディングでゴールを決めました。
ハーフタイムの修正で
チャンスを与えていなかった所でミスから
失点してしまい苦しくなりますが
アビスパを66分同じくセットプレーで
同点に追い付きます。
63分に城後に代わって
投入されたばかりの酒井が左サイドで
今まで無かったドリブル突破を仕掛けて
右WB益山と競り合いながら
強いフィジカルを活かして
クロスまで持って行きCKをもぎ取ります。
そのCKをニアでグァンソンが
この試合初めて岡根に勝ち
少しコースが変わりファーに抜けていく所で
その先のプレーを予測して
グァンソンの裏に入っていた中原貴之が
右足ダイレクトでシュートを打って
GK太田がポジションを変えて
準備が整う前にボールが太田の脇を抜けて
ゴールに突き刺さりました。
岐阜は失点を防ぐため
コンパクトで中央に偏った陣形だったので
サイドは前半からスペースがありましたが
岐阜の激しいプレスに慌てて
急いでタテに出してしまい
城後の得点シーン以外は
上手く使えていませんでしたが
63分に酒井が入って
意図的に中央に絞る益山の所で受けて
ドリブルを仕掛け始めてから
アビスパのチャンスが増えていきます。
丁度岐阜の運動量が60過ぎ位から
落ち始めてスペースが出来ていたので
75分に金森に代えて坂田を
80分に中原貴之に代えて邦本と
技術とスピードがある選手を
相次いで投入して終盤は完全に
アビスパペースになっていきます。
井原監督は
後半すぐにやり方を変えるのでなく
岐阜の激しいプレスは必ず落ちると予測して
終盤に一気に得点を重ねようとしたのだと
思います。
59分にミスから失点してリードされたので
その分酒井の投入が早くなった事は
あるでしょう。
前半からもう少し金森がサイドで受けて
ドリブルでカットインして
中央の中原貴之に当てて
タテにフリーランニングしてエリア内に入り
ワンタッチで中原貴之からのリターンを
エリア内で受けてダイレクトシュートまで
持って行った55分のような場面を
作れていたら得点も増えていくはずです。
中央の中原貴之ではなく
左サイドをサポート来た亀川を
使ってもいいでしょう。
金森のドリブルは武器ではありますが
今の所は酒井の方が受ける動きも良いですしドリブルを仕掛けてさらに周りを使い
チャンスに結び付ける判断が出来るので
得点力も増えそうです。
味方も相手も疲れてルーズになった後半に
カバーも味方のサポートも無い
個の力で何とかしないといけない状況の方が
金森は活きるでしょう。
この試合は潰し合いでその中でまともに
正面からぶつかった結果が引き分けで
内容から見て結果は妥当だと思います。
アビスパが勝ち点3を
積み上げて行くためには
激しいプレスがあるのなら
寄せに来た選手の裏にはスペースがあるとか
引き付けてからDFラインの裏を使う
足下ではなくスペースにコントロールする
ワンタッチで味方を使う
中央を固めているならサイドを使う
ボールサイドに全体が集まっているので
サイドチェンジを使うなど
昨年アビスパがやられて苦しんだプレーを
思い出して冷静に判断出来れば
違った展開になったはずですが
まだ難しいのかもしれません。
そうであればセットプレーで工夫をしたり
球際で負けないなど正面からぶつかって
勝てる工夫が必要でしょう。
せめて味方のDFラインが
プレスを掛けられてフィードが
出て来そうな時に
マークされていた中原貴之が
相手CBをサイドに引っ張って
そのスペースにシャドーの城後か金森が
抜け出すなどシンプルに
2~3人の関係でロングボールを
アバウトであってもチャンスにつなげる
工夫が必要です。