この試合は、首位の柏に自分達のスタイルを出しつつ、接戦に持ち込んだ良い試合でした。

ただ、同時に柏が首位にいる理由もよく
分かる試合だったと言えます。

アビスパに取ってこの試合で一番重要な事は、柏の得点の殆どに関わっているレアンドロ・ドミンゲスをどう抑えるかでした。
柏の4-2-2-2と言う、⊥の形をした独特のシステムへの対応も求められていたと言えます。

アビスパはレアンドロを抑えるために2つの策を講じました。
1つはいつも通り高い位置からプレスに行く事。

もう1つは、CBの
2人がFWの北嶋と田中に、
ボランチの2人が2列目の茨田とレアンドロに厳しくマークに付いて、
FWの2人が味方のSHと連動して柏のSBにプレスを掛けつつ、柏のボランチとCBの間にポジションを取ってレアンドロにパスを供給している大谷と栗澤へのパスコースを切ってボールをさわらせず、さらに大谷と栗澤にパスを供給しているSBジョルジ・ワグネルとCB近藤にプレスを掛けて自由に
ボールを持たせない、と言うものです。

これが連戦の疲れと連敗したくない気持ちから、ボールを大事につないで1人1人のボールを持つ時間が長くなっていた柏に上手くハマって、
レアンドロだけでなく柏全体を抑える事に成功しました。

しかし、26分で状況を把握したネルシーニョ監督が動きます。
4-2-3-1にシステムを変えて、サイドにシンプルにボールを当てるスタイルに変えて来たのです。
これで、大谷と栗澤のパスコースを切っていたアビスパのFWとSHがサイドに釣り出されてしまい、
レアンドロがトップ下に1つポジションを上げた事によってアビスパのボランチがそれに引っ張られて下がってしまって、中盤にスペースが
出来て大谷と栗澤がフリーでボールを中央で受け始めます。

これによってSチェンジが増えてレアンドロにもボールが入りだして、アビスパの陣形がサイドに広げられてDFラインは下がっていき柏に
押し込まれ始めた所で38分の田中の先制点が生まれました。
システム変更から
12分、柏のSBが
Sチェンジに対してもっと良いフォローが出来ていたら、もう少し早く点が入っていたでしょう。

後半はこのシステムのままポゼッションを捨てて、アビスパにボールを持たせて
カウンター主体に切り替えます。

柏の強さは、試合中に相手に合わせてスタイルを変えられて
その意図を選手が理解して実行出来る事でしょう。