選手にハードワークを求めるのであれば、クラブには選手層を
厚くすることが求められる。

固定された選手で
ハードワークを続ければ、選手たちは必ず夏場やリーグ戦終盤に、疲労やケガで
パフォーマンスを
落とすことになり、
それは、チーム全体のパフォーマンスの
低下につながります。

J2では昨年、
ハードワークを全面に押し出した湘南が開幕から首位を独走していましたが、夏場あたりから、チームとしての運動量が落ち始めて、さらに、
アジエル、ジャーン、田村、田原などの主力にケガ人が続出し、
チーム全体のパフォーマンスが低下しました。
それにより、試合の立ち上がりと終了間際の失点が急激に増えて、勝ち切ることが
出来なくなり、敗戦も増えていき、一時は
昇格圏外まで順位を落とします。

結果、昇格は決めましたが、最終的に順位は3位で、4位甲府との勝ち点の差は1つでした。

そして、選手たちの
ケガや疲労は、J1に上がった今シーズンも引きずることになり、結局、開幕から昨年のベストメンバーとパフォーマンスが戻ることはありませんでした。

昨シーズンオフ、湘南は反町監督にチームの指揮を託しますが、反町監督はキャンプ中も選手編成に追われます。
開幕までにGK野澤、MF寺川、FW田原を補強して、ハードワーク出来るチームの形を整えますが、これはベストメンバーが揃っている時の話しで、結局、シーズン半ば
までしか持ちませんでした。

それほど、当初、
クラブが行った
チーム編成に問題があったということです。

ウチには上手い選手がいないから、運動量で勝負する。
しかし、運動量を全面に押し出すとしても、そのサッカーに合った能力を持っている選手を集める必要があるのです。

走るサッカーなら誰でも出来るだろうというのは間違いです。
真逆のアーセナルを見ていても、選手編成の難しさを感じます。
あの華麗なパスサッカーを支えているのは、フリーランニングとドリブル、そして、ボールを失った直後の激しいプレスです。
選手には大きな負担が掛かります。
そのため、毎年、主力のケガが相次ぎ、
ベストメンバーが揃った時に見せる、内容と結果が伴った試合は、短期間しか続きません。

どのような戦術を
採用するにしても、
その戦術に合った
選手が必要であり、
そのチームにどのような選手がどれだけいるのかを無視して、クラブの理想を押し付けることは出来ないのです。