さて、皆さんこんばんは

今夜も碓井琢磨怪談の時間です。
過ごし易い季節になって来ましたが、こんな夜に怪談というのもまたいいでしょう。


今や映像配信やDVDのレンタルなどで様々な怖い映像だったり、映画だったりが溢れているかと思うのですが、


皆さん観たりしますかね?


僕もそういうのが好きでたまに観てたりします。


大抵こういうのはお祓いを済ませてありますとか、観ても何の影響もありませんよというような注意事項などが書いてありますよね。


それは当然の事で観ただけでヤバいやつ何か出したら大変ですから、そういう風に編集の段階で作られています。


それをヤラセというのかどうかは皆さんの判断に
お任せしますが、


ささやかな非日常を届けるバラエティとしては僕は全然アリだと思うのでいいと思ってます。



まぁ、怪談も一緒ですね。
そんなの嘘でしょうと言ってしまえば証明するすべは無いので、信じろとは言いませんし、

まさに信じるか信じないかはアナタ次第です

ってな所でしょうか。


さて今回はそんな作られたはずの物の中にどういう訳か本物が混じってしまっていたというそんな話です。


何年も前の話になりますが、名前は出せないのだけれど、とある怖い映像を集めたDVDのシリーズがありまして、これがまぁ仲間内で流行りましてね、

新作が出れば誰かのうちに集まって深夜の上映会が始まるわけですよ。

誰も1人で観る勇気はありませんから笑

みんなで集まって、おぉー怖いとか何とか言って盛り上がるんです。

確かに観終わった後の部屋には嫌な空気があるにはあるんですが、特に何も起こる事も無くそのまま時間は過ぎて行きます。

そんな事が恒例になりつつあったある時の事です。

その日も誰かが「あのシリーズの新作が出たから借りて来た」っていつものように上映会が始まったんです。

いつも通りに投稿された映像を観ながら、

「怖っ!」

「これ本物?」

「オメー、ビビってんべー」

とかやってたんですが、、、

ふと一つの映像になった時に全員が急に黙ったんです。

もちろん映像に迫力がありましたが、
それ以上に何かを感じたんでしょう。

僕も映像が流れた瞬間に身体の内側から来る得体の知れない寒気を感じました。




だってこれ、本物じゃん。




日本に古くからある、とある民謡をある時間に歌ったり流したりすると何かが起こるというのを
検証している映像なんですが、

そこに写し出されて紹介されている、これが幽霊ですという女性らしきモノ

それとは別にマネキンのような無表情な顔をした女性が映り込んでるんですよね。

しかも、映像が始まった瞬間からずっといるんです。

前置きの部分やまだ幽霊が登場するはずの無い部分にもずっといるんですよ。


映像的にもナレーションでも一切触れてないので
完全に映り込んだものとしかいいようがない。


少し話が脱線するんですが、本物の映像や心霊写真を判断する基準がありまして、

まぁ、人それぞれだと思うのですが、
僕の中ではその幽霊と言われるものと目が合うかどうか?これが一つありまして。


まぁ、皆さんの想像通り、映像に写し出された
マネキン女とずっと目があっている。

目があっているから、何が起こるかわからないので目が離せないわけです。

多分目があっていたのは僕だけじゃなくその場にいた全員ですね。

誰もピクリとも動かないし、テレビを消す事も出来ない。

ただただ蛇に睨まれたカエルのように微動だにせず映像が終わるのを待ちました。


やがて映像が終わると、全員がかなしばりが解けるようにふーと息を吐きました。



…沈黙が続きます。



それぞれが今見たものを理解しようとする時間。



そんな沈黙を破って1人が言いました。



今の1番最後のやつ








変な男映ってたよな?









えっ?









男?







その声を皮切りにみんなが一斉に言う

いや、違うって!スゲー無表情の女だって

いやいや、小さな子供が何人もいたって

いや、軍服着た男だって


それぞれが観たものが全然違う。

僕も観たのは無表情の女。

何がなんだかわからない

そんな討論を続けている時1人がいいました。

じゃあもう一回観て観ないって?

いやいやながら全員が納得したいが為にもう一度問題の映像を観る事に。






ピーンという耳鳴りが止まらない。







さて、問題の映像がいよいよ映し出される







ピーンという耳鳴りが止まらない。









もうね、わかってたんだ。






もう一度映像を見直した所で映像には何も映って無いって。






だってもう既にそいつ、






並んでテレビにかじりつくように観る僕らの上から眺めるように僕らを観ているのだから。





そしてやはり僕にはどう観てもマネキンのように無表情な女にしか見えなかった。




今でもたまに耳鳴りがした時にあのマネキン女が近くにいるんじゃないかと怖くなる時があります。



お終い。