叔母の永眠 | カフェと音楽と世界のできごと

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それはそれはタラタラと書いております。

お義母さんが亡くなってから数か月後、
叔母永眠の知らせが入った。

ここ数年アルツハイマーを患い
テキサスから出ることが無かったので
私は叔母に会った事はない。

ただ、長男であるケリーが家を出て
義母を独りにしていた事をずっと責められ
彼が苦しんでいるのは見てきた。


ユタはモルモン教徒が7割以上、裕福層・権力層を占める
アメリカ内でも異色の州だ。

宗教・人種・年齢・性別などで差別することは
法律で禁じられているから、ダイレクトな差別な無いけれど
仕事の面接などで静かな「ふるい」にかけられる。

「あの角の建物、知ってますか?行ったことはありますか?」

等と聞かれる。角の建物はモルモン教会だったりする。

好きな子の両親に「人種が違う」「宗教が違う」と
面と向かって拒絶されることもある。

姪っ子甥っ子は学校でかなり苦しんでいた。


ケリーは施設から黒人夫婦に引き取られ、
バプティスト教会に通いながら育った。

100%白人ではなく、モルモン教徒でもなく、
黒人でもなく、キリスト教徒でもなく、

誰からも受け入れられず、自分が何者か分からないまま
静かな差別に耐えて生活してきたケリーは、
大学を修了した夏にワシントン州へ引っ越した。

そこで今の友人と出会い、音楽に出会い、
やっと自分の居場所を見つけたそうだ。


もちろん叔母には叔母の考えがあり、
長男が家を継ぐべきという世代の人だから
ケリーが責任から逃げた様に感じたのだろう。

家族の傍にいるのが正しいのか、自分の道を進むのが
正しいのか・・・

それは、正しいとか間違っているとか白黒つけられる
問題ではないと思う。


分かり合えずに亡くなってしまった事は、きっと一生の
悔いになるだろうな。
でも、どんなに努力しても変わらないこともある。


大切な人の死は、過去の記憶を呼び返す。