「ママ…」
「え?」
呼ばれた気がして目が覚めて
周りを見回しても
寝ている柊ちゃんだけ
「うぅ…ん…」
「柊ちゃん、うなされてる?」
「うぅ…」
うなされて汗もかいてる
拭いてあげな
「ママ…」
「柊ちゃん…」
「マ…マ…や…めて…
うぅ…」
「え…」
「パ…パをたた…かな…いで…
うぅ…ハァハァ…
柊が…悪いの…ハァハァ…
柊が…パパを…守る…の…」
「ッ!!」
柊ちゃん、彩が暴力振るわれてるとこ
見てたんや
それを自分のせいやって…
こんなに小さいのに
こんなに彩のこと考えてたんや
そういえば
『子どもらしいことさせてあげれてないからな…
我慢ばっかさせてた…』
『あんな笑顔、前まで見たことなかったし』
彩もそう言ってた
柊ちゃんはなんでも我慢する子に
なってたんや
泣いたとこも見たことない
いっつも凪咲のこと優先させて
自分は我慢してるんや…
さっきの注射も怖いはずやのに
我慢して…
「うぅ…」
「柊ちゃん…
もう我慢せんでいいねんで」
「ん…
凪咲ちゃんママ?」
「あ、柊ちゃん起こしちゃった?」
「ううん…
なんで泣いてるん?」
「え?」
気づけば涙が頬を伝ってた
「どうしたん?」
ガバッ
「え?
凪咲ちゃんママ?」
「柊ちゃん…
もう我慢せんでいいねんで?
泣きたい時は泣いていいねんで?
柊ちゃんがやりたいことは
やっていいねんで?」
「…」
「今までたくさん我慢してきてんもんな?
それにパパが叩かれてたのは
柊ちゃんのせいじゃないよ?」
「…え?」
「パパは柊ちゃんが大好きやねん」
「…でも柊…
嘘ついた…
嘘ついたからパパ…」
「でもなパパは怒ったりしやんかったんちゃう?」
「うん…」
「パパは柊ちゃん守れてうれしかったんちゃうかな?」
「…」
「今まで怖かったな
よく我慢したな
柊ちゃん…」
「うぅ…ヒック…
柊…柊…」
「しゃべらんでもいいよ…」
「うぅ…うわーーん」
泣いてる柊ちゃんを
優しく抱きしめてあげる
今まで我慢してきた分
今泣かせてあげるんや…