君に求められるがままに応じた。
バクテリアの僕はもう、
バクテリアとしての役目を
果たせなくなってきた。
しこりが、
フィルターが僕を抑え込もうとする。
僕の心が暴れだす。
君への思いも考えもすべてが、
塗りつぶされていく。
フィルターが作動しない。
しこりが僕を諭さずに怒鳴りだした。
[勘違いするな]
[お前を受け入れるものはいないんだ]
[愛されるわけがない]
[一体、お前は何が望みだ?]
[あいつの家庭を壊したいのか?]
[あいつに求めるな]
[あんな奴がお前なんかと並んで歩けるわけがない]
君とのやりとりの傍でしこりたちが囁く。
[おまえは都合のいいバクテリアなんだ。
それ以上でもそれ以下でもない]
[このまま終わらせてしまえばいい]
ちっぽけで空っぽの僕には、
何も見ても口にすることは
許されないんだ。
手に届く距離にいるはずのきみが遠い。
向き合っていたつもりになってた。
君は、
僕を壊した。
進むべき道がここなんだとしても僕は、
もう少し違った道が良かった。
[これ以上何もない]
[喧嘩はしたくない。
一緒にいられる間は笑っていたい、
だと?
美味しいところだけくれと言えばいい]
[求めるな、
口を開くな、
こっちを見るなってことだろ?]
そうだ。
確かに、
君が僕を拾いバクテリアにした。
このまま、
浮き上がることのないまま。
静かにしてれば
・・・僕は誰にも言えない。
誰にも言わない。
君が描くシナリオに沿って消えてあげよう。
これでいいんだ。
君は美味しい思いを少しはできたのだろうか・・・。
やめておこう。
君への思いが薄れるまで・・・
しこり・・・
付き合ってくれ。
[当たり前だ。
俺がお前で、お前が俺なんだ。]
[あの日から俺たちはずっと一緒だろ?]
[お前が受け入れを放棄した時から・・・。]
[どこまでも続くんだ]
[お前が誰かを求めようとも、
俺たちがそばで縛り付けていつでも思い出させてやる]
[お前が何者で、
どうしてこうなったのか]
そうか、
独りでいろと?
[そりゃそうだ。
お前を受け入れる者はいない。
こんなにも弱くて脆いお前を・・・]
そうだな・・・。
これでよかったんだ。
消えてしまえばなんてことはない。
僕が、
忘れかけたころにきみはまた送り付けてくるんだ。
それでも僕が、
沈み切ったままでいればいい。
フィルター越しの日常なら辛くはない。
[フィルターを外すからこうなるんだ]
そうだったな。
俺が悪かった・・・。
俺があの光に触れようとしたからだな・・・。
そう、
すべて俺が悪い。
受け入れて貰えることを、
愛されることも、
望んじゃいない。
ただ、
そこにいたいだけだ。
俺はここにいたんだ・・・
確かにここに僕は
君のバクテリアだった。
