本書の目的が何であるのか、さっぱり分からなかった。私がマーケティングという分野に対して無知であることが原因なのか分からないが、昨今の「フリーミアム」や「オープンソース」などの無料・課金モデルをグレイトフル・デッドの活動と照らし合わせて分かりやすく解説しているだけのように思う。(それとも停滞している音楽業界に対する批判なのか。)
本書に記載されている方法論を使ってビジネスを成功させようとあるが、この本が出版されてからでは既に遅く、同じビジネスモデルを辿ったとしても第一線で活躍することはできない。つまるところ、巷で出回っている小手先で成功するための手遅れのハウツー本といったところだろう。各章にてグレイトフル・デッドが旧来のビジネスモデルとどう対峙してきたのか解説されているが、裏づけとなるデータやグラフがないため信憑性に欠ける。数字も若干記載されているものの、他のバンドと比べてCD、DVD、ライブ等の利益やファン層(顧客数)がどれくらいの異なるのか、また音楽業界全体としてどれくらいのシェアを獲得しているのか等、統計的なデータがほしいところだ。
結局のところ、そうした統計的なデータが収集できてないのは、音楽業界というものが未だにブラックボックス化されていると思わざる終えない。本書だけでなく、世界的にSNSを活用することにより情報のオープン化や共有化が叫ばれているにも関らず、旧体質のままであることが露呈されたように思う。これからの音楽業界はレーベル会社、アーティストたちが既得権益にしがみ付くのではなく、皆一丸となって力を合せ、真剣に未来に向かって現実とどう戦わなければならないかを考えなければ、音楽は我々にとって単なるBGMかこれまでのヒット曲に酔いしれるだけの陳腐なものになってしまうと懸念する。
これまでのビックバンドが実施してきたビジネスモデルが1.0で、グレイトフルデッドが実施してきたビジネスモデルが2.0とするならば、私たちはそれらに変わる3.0のビジネスモデルを築かなくてはいけないし、それが音楽とビジネスの両方の草鞋を履いてきたものの使命のように感じるのである。
- グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/デイヴィッド・ミーアマン・スコット

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