4月29日、いよいよ松本ピアノフェスティバル2017が開幕しました。

キッセイホール全館貸し切りで2日間にわたり、様々なピアノ音楽と、多種の楽器に触れて楽しめるお祭りです。松本ピアノ協会が総力を結集して行なう、ノージャンルの参加型フェスティバルで、最近は全国誌でも取り上げられ、注目されるようになってきました。

 玄関入り口にはフェスティバルの看板と旗を掲げ、アプローチにはお花を飾りました。(このお花は自分たちで苗を植えて育てたものです)

 地元の楽器店さんにピアノを展示していただいています。カワイさんはカワイと、シゲル・カワイ、ボストン、ディアパソンの4台を並べて下さいました。ヤマハさんも新製品を紹介しています。そして何とベヒシュタインを試弾できるという豪華なラインナップとなっています。その他にもチェンバロや電子ピアノなど、多数の楽器が所狭しと並び、信じられないぐらい楽しいピアノの森となりました!!

 

キッセイホールの玄関ロビーでは、「ピアノ選手権」というゲームや、ピアニストによるコンサート、ジャズトリオ、世界で最初に生まれたピアによるコンサート等が行なわれました。


ピアノは1700年頃のイタリアで、メディチ家の楽器工房主任だったクリストフォリによって発明されました。チェンバロ製作者の久保田彰さんが作ったクリストフォリの複製を埼玉から運び、久保田さんが自らお話をしながら、お弟子さんが演奏して下さいました。

クリストフォリの繊細な音が、ホールのロビーに静かに広がり、世界最初のピアノの音色に、皆が耳を傾けました。それはピアノの誕生の瞬間に立ち会ったかのような、時を超えた経験となりました。

 

今年からフェスティバルに「ジュニアピアニストアワード」が加わりました。

JPAは、3月に行なわれたオーディションに合格した11名が出演するコンサートで、審査員により様々な賞が贈られます。長野県で最も優秀なジュニアたち(小学生~高校生)の演奏が聴けるコンサートであり、今回はゲストに浜松ピアノコンクール第一位の藤田真央くんをお呼びしました。藤田くんのすばらしい演奏に皆が圧倒されました。

審査員はピアニストの松本和将さん、元桐朋学園の玉置先生、昭和音大の奥村先生でした。

今年は私の生徒さんも2名演奏し、新人賞や奨励賞をいただきました。

JPAはケーブルテレビで放映されます。

上の写真はJPAの出演者と、審査員と、藤田真央くんです。

(この時はまだ藤田真央さんが、チャイコフスキーコンクールに入賞して世界的ピアニストになるとは、知る由もありませんでした)
 

一方、中ホールでは恒例の「みんなdeショパン・マラソン」が2日間にわたって続きけられました。

ショパンマラソンは一般の方が参加して、ショパンの全曲演奏を目指して、リレーで弾き続けるコンサートです。ショパンは全部で212曲のピアノ独奏曲を作りました。今回で3回目となるショパンマラソンで、これまでの累計が128曲となりました。

私の生徒さんも11人が出演し、中にはご夫婦で赤ちゃんを連れて参加してくれた方もあり、新聞にも大きく取り上げられました。お母様が演奏するときに赤ちゃんを抱いて隣に立っていようと思ったのですが、私が抱くとすぐに泣きそうになってしまったので、お父様と交代し、お父様の演奏が終わると、お母様と赤ちゃんも一緒にステージでご挨拶をなさいました。

ご家族で楽しんでいただけるショパンマラソンは人気のイベントで、これまでに東京や大阪、仙台や富山などからもご参加いただいています。

フェスティバルは2年に一度ですが、ショパンマラソンは毎年開催しておりますので、また来年はぜひ皆様もご参加ください、お待ちしております!

 

玄関ロビーで行なわれたジャズライブや、ディズニージブリのコンサートは盛況でした。

ディズニージブリを演奏していただいた中園梨沙さんは桐朋の後輩で、とてもチャーミングな方です。

中園さんのクラシックが聴きたいという声もありました。

お話を伺うと、なんと10日後にベートーヴェンのコンチェルト「皇帝」を弾くので、そのための準備に打ち込んでいるそうです。あのほっそりとした体で皇帝を弾くのですから、すごいですね!

私のスタッフ姿もけっこう似合っているでしょう?

 

リハーサル室では4つのワークショップを行ないました。

初めてピアノに触れる幼児対象の「ピアノさん、こんにちは!」と、「大人のためのピアノ体験」、「ポピュラーピアノ講座」、そしてピアニストの松本和将さんによる「クラシック専門講座」で、今年はブルグミュラーを掘り下げて下さいました。

フェスティバルは体験型をモットーとしているので、色々なワークショップでピアノを体験していただき、はじめてピアノに触れる方も意外とやさしく弾けた、面白い!と思っていただけるよに準備しています。

松本さんの「ブルグミュラー講座」も、知っているはずの曲なのに、実はもっと深い音楽を秘めていたことが次々と明かされ、まさに目からウロコの体験となりました。多くの曲を弾いて下さったことも印象的でした。

 

メインコンサートは2つあり、「ピアノ・ザ・プレミアム」では、2台ピアノのライル・クライスと、山本貴志さんのソロに続いて、松下奈緒さんがオリジナル曲をヴァイオリン・チェロとトリオで演奏しました。後半は恒例のレ・フレールによる熱狂のライブとなり、最後はやはりスタンディング・オベーションになりました。

2日目のメインコンサートは、フジコ・ヘミングさんです。フジコさんはご高齢なので、当日いらっしゃるまでキャンセルが心配されましたが、無事に到着され、立派に演奏して下さいました。84才であれだけ演奏それるということは、本当に奇跡といえるようなものすごいことなので、聴かせていただくことができて、本当にありがたいと思いました。

私達も何才になってもピアノが弾き続けられますよう、がんばりたいと思います。

フェスティバルでは、フジコさんのような大先輩から、ジュニアのピアニストたち、そして初めてピアノに触れる幼児まで、幅広い年齢の方がピアノを通じて集まり、音楽を楽しむことができます。

ピアノによって人がつながる、そのピアノの力とはすごいものですね。

 

その他にも、「ピアノ検定クイズ」や、「ピアノ解体ショー」をDVDで流したり、屋外には食べ物の屋台も出て、一日中楽しめるフェスティバルは盛り上がりました。

高校生のボランティアも一生懸命協力してくれました。

怒涛のような2日間でしたが、何といってもこれほど楽しいことはありません。

がんばったスタッフたちも疲れましたが、きっとまた立ち直って、次に向かって走り出すことでしょう。

音楽人間バンザイ!!