あれから、約半年ばかり過ぎましたが、球結の途中で凄く寒くなって成長を止めて、今年の大雪に埋もれたりしたこともあったのですが、なんとか冬を越しました。
そして、春になって暖かくなってきたなと思ったら、葉っぱの真ん中に花芽を宿していました。
さて、このように花芽がでて、「とう立ち」してしまった白菜は、もう駄目なのじゃないのかなと思うのが普通です。
でも、「とう立ち」した“白菜の花芽”は、絶品です。!!
やわらかく、青臭さもなく、煮ても炒めても、甘く蕩けるように美味しい。!!
この味を知ったら、白菜っぽい白菜なんて食べられない。
うちでは、お味噌汁に入れたり、焼そばやうどんに入れたり、パスタに入れたり、ほとんど万能の絶品野菜として使っています。、
だから、味覚に秀でた日本人が、いままで、これを見逃していたのだろうかと、その点が不思議に思って、調べて見たら、伝統的な食文化の中に、やはりありました。
さすがに、食の豊かな東北地方の秋田県です。
「ふくだち」と呼び、秋田県南部でしか食べないそうですよ。
「ふくだち」の福は、至福の福なのでしょう。
春一番から、至福の味をいただきまして、
大満足で、ことしの養蚕準備がスタートしました。
ж【追記】
東北地方の「ふくだち」・「ふくたち」・「ふくだぢ」…等について。
秋田県南部「ふくたち」は、白菜の越冬した花芽の「とう立ち」であるが、青森県の十和田地方では、前年の「菜種」が越冬し花芽の「とう立ち」したものを「ふくだち」と呼ぶそうである。
詳しく調べたわけではないので結論には至らないが、ひとつの着目点として秋田県仙北郡角館町(田沢湖)から青森県の十和田地方(十和田湖)を結ぶ、奥羽山脈に沿って、往き来する人の流れとか文化の交流とか、調べて見たら「ふくたち」をキーワードにしたもっと他の何かが現れるかもしれない。
つまり、要約すれば、アブラナ科の葉菜類が冬期に成長を停止し極めて低温の状態に置かれた環境で越冬し、春に花芽がふくらみ「とう立ち」したものを“福(春)が立つ”の意味を込めて「ふくだち」・「ふくたち」・「ふくだぢ」…等と呼んだということであろう。
基本的には菜花を食すという伝統食のなかに含まれるものであろうが、春という季節を味覚の中で体感的に確認できる雪深い地域の「ふくだち」は、正に味覚の至福だと思う。


