まず、最初に、原子力発電というものについて、
わたしは、現状容認派で、
代替エネルギーについての技術開発が進まないと、・・・
また、廃炉にするにしても、
使用済み燃料等を含む廃棄物処理の問題が解決しないのに、
闇雲に脱原発を進めるのはどうかという考えだという事を、
予め明らかにしておきますが、・・・。
その容認派のわたしにしても、
今回の原子力発電所再稼動については、
そう簡単に賛成できるものではありません。
その理由は、以下のようなものです。
管直人首相が、IAEA(国際原子力機関)という存在を信頼し、また、その調査や示唆について尊重すべきものとしているのならば、
IAEA福島事故検証作業部会の菅首相が行った政治介入に対する批判について、どのように受け止めているのか、
首相個人、或いはまた、民主党政権の立場に於いて、
その点を明らかにして欲しい。
原子力発電所再稼動に際して、
IAEAのストレステストに準じたストレステスト日本版にパスすることを、
「安全の条件」とするのなら、
同じIAEA(福島事故検証作業部会)の報告書が示す、
「現場責任者は(規制当局や政府といった)広範囲の利害関係者の要求に応えるより、事故の初期対応に集中する必要があった」との指摘や、「現場の判断でできることもハイレベルの判断を仰ぎ、いたずらに時間が浪費された」などの意見、
そして、2007年にIAEAから助言されていた、規制監督当局については、政治や業界からの圧力を防ぎ、その独立性を保障する仕組みをつくること、即ち、我が国における規制監督当局である原子力安全保安院の独立性を確保するようにして、日本の原子力行政と安全規制の垣根を明らかにし、他からの介入を排除し、特に緊急時、問題発生時には、イニシアティブを発揮した対応ができるような法的な位置づけを確立し、加えて組織系統の独立性をも確立するというようなことがなされていなかったという点についての指摘を尊重し、その点についての省みて責任の所在について明確に言及してはいかがでしょうか。
その原子力行政と安全規制の垣根の曖昧さによって、
今回の福島第一原子力発電所のケースでは、
震災対策の陣頭指揮に立つ菅首相の介入を排除できなかった。
そこが問題です。
管直人首相は、全国各地の原子力発電所の再稼働に関し、「IAEA(国際原子力機関)もストレステスト(耐性検査)を提起し、(欧州で)実施している。国民的に納得されうる基準、体制で物事を判断しなければならない」と述べるのですが、・・・
IAEA(国際原子力機関)が、原子力発電所の状況について問題視しているのは、日本の原発のテクニカル面、管理面、機能の耐久安全性についてのストレステストの結果などよりも、重大な問題点として捉えているのは「緊急対応時に、専門的な知識もなく、実務にも精通していない、素人政治家(管直人首相)の防災基本計画のマニュアルを無視した対応などを行った。」・・・というような、
緊急時のオペレーションに対して、そのような外部からの圧力や介入を現場や監督機関から排除することが担保できるシステム作りの必要性と、その安全基準を運用するシステム(組織)の独立性と判断の信頼性ついてより確実なものにすることが成されていないというところを問題点としているということなのです。
指摘されているような仕組みができていないと、
政治は政治の役割、行政は行政の役割、実際の現場対応は現場の役割、規制監督当局はその役割、モニタリングのセクションは現状についての正確な情報を発信する役割、・・・というような、緊急時にそれぞれが然るべき役割を担って事態の拡大を防ぐというような機能を発揮することができないということを言っているのです。
しかし、原発再稼働に於ける政府統一見解の全文では、IAEAの指摘した点には全くふれられておられず、「【問題点】他方、定期検査後の原発の再起動に関しては、保安院による安全性の確認について、理解を示す声がある一方、疑問を呈する声も多く、国民、住民の十分な理解が得られているとは言い難い状況にある。」という内容にすり替えられています。
-参考となるweb上の資料-
●保安院独立「来年にも」 IAEA閣僚級会合で経産相
●防災基本計画-第10 編 原子力災害対策編-
原子力事業者の原子炉の運転等(加工,原子炉,貯蔵,再処理,廃棄,使用(保安規定を定める施設),事業所外運搬(以下「運搬」という。))により放射性物質又は放射線が異常な水準で事業所外(運搬の場合は輸送容器外)へ放出されることによる原子力災害の発生及び拡大を防止し,原子力災害の復旧を図るために必要な対策について記述する。さらに,原子力艦の原子力災害の対策についても記述する。
●SPEEDIを隠蔽し大量被曝させた責任を取らない内閣【森まさこ】
●保安院独立「来年にも」 IAEA閣僚級会合で経産相
●防災基本計画-第10 編 原子力災害対策編-
原子力事業者の原子炉の運転等(加工,原子炉,貯蔵,再処理,廃棄,使用(保安規定を定める施設),事業所外運搬(以下「運搬」という。))により放射性物質又は放射線が異常な水準で事業所外(運搬の場合は輸送容器外)へ放出されることによる原子力災害の発生及び拡大を防止し,原子力災害の復旧を図るために必要な対策について記述する。さらに,原子力艦の原子力災害の対策についても記述する。
●SPEEDIを隠蔽し大量被曝させた責任を取らない内閣【森まさこ】
原子力発電というシステムや、
安全機能というような工学的な領域の実際面について、
素人のわたし達が“付け焼き刃の知識”で捉えようとしても、
原発推進派の言うこと、原発反対派の言うことを、
そのどちらが、より正しいことを言っているのかと判断に困ります。
また、一面的な正しさがあっても、自然エネルギーの利用のように、
コストと、安定した供給の維持について、
疑問が残るようなものなら、それも困ります。
以前の記事で、わたしは、
「原発推進派と原発反対派が、この原発問題を囲い込むことで、
一般の、わたし達が、
この原発問題に近づき難いものにしてきた。」と書きましたが、
皮肉なことに、福島事故によって、
さまざまな可能性から、
自分も微量でも被曝を被るかもしれないという現実に直面して、
この問題を囲い込んできた様々な団体の主張の影響を排除して、
自分の為に「自分で考えるべき問題」になったという気がします。
だから、わたし達国民にとって、
原子力発電所再稼動にあたって満たされるすべ安全基準とは、
原子力発電所というシステムそのものの安全性もさることながら、
もし何らかの原因で原発事故になって、
仮に放射性物質が放出されるような事態に至ったとしても、
「正確な情報が得られて、自分や家族の安全を守る為に早期に避難ができて、また、救済措置も制度的に調っている」という点が重要だと、福島第一原子力発電所のケースが教えてくれました。
現実的に住んでいる地域の近隣に、
原子力発電所があるというような条件の下では、
そこを基点として福島第一原子力発電所のケースのように、
かなり広範囲に広範囲に放射性物質の飛散や、
それに伴う被曝が住民や農水産物に及ぶという、
この事例に従えば、現時点で国民側から考えることは、・・・
「急進的な脱原発というようなエネルギー政策転換のことや原子力発電所のシステムのテクニカルな面での耐久安全性について」という議論のゆくえよりも、
「もし、明日、自分が福島のケースのような事態に巻き込まれたときに、“どうなるのか”」というところです。
これが、専門的な原子力エンジニアリングなどの知識や、
電力事情についての様々の専門知識や情報などを知らなくても、
政府や運営主体及び監督機関が、「国民の生命や安全を守る姿勢はどのようなものか、被災した場合の救済について社会保障として、どのように考えているのか。」ということを、しっかると見つめてゆくことが、国民の目線から確認できる唯一の切り口です。
そういう面についての議論や政策立案がしっかりと行われずに、エネルギー政策の転換や、独自の日本版ストレステスト(耐性検査)などを実施し専門的な解説を加えることで、国民の理解が得られたと決め付けて行く政治手法が大問題なのです。
このような、事故後、現在までの、責任問題についての明確化を避ける、様々な矛盾に満ちた説明や、支離滅裂な対策、欺瞞に満ちた突然繰り出される首相独断の発言。
そういうものは、もうたくさんです。
ほんとうならば、
政府や運営主体(電力会社)及び監督機関などの立場でも、
首相要請で緊急停止した後の原子力発電所再稼動に於いて、
満たされるすべき安全基準の条件とは、・・・
「福島第一原発の事故が収束した後、様々な分野、様々な視野からの、事故の過程の検証と放射性物質拡散による影響の全体像と、責任の明確化などの分析を経た後、導き出される対策を盛り込んだもの。」が安全基準となってゆくと考えるのではないでしょうか。?
国民の安全を慮って、法的根拠を超えた、首相要請によって浜岡原発を緊急停止したとの、首相の発言を鵜呑みにすれば、
それは、結構なことですが、・・・
根拠のない停止だから、再稼動を行ううえでの、
誰もが納得できる指針が導き出せなかったので、
突然のストレステストが必要との発言をされたのではないですか。?
もう少し踏み込めば、海江田万里経済産業相の地元交渉によって、玄海原発再稼動が実現してしまえば、御自分が、政治的な求心力や存在感を、急激に失って、政治生命を絶たれてしまう。
そういう危機感からの、
意表を突くあの発言だったのかも知れませんね。
「電力不足」という現実に鑑みて、様々な立場から、
様々な見解があることを乗り越えて、
日本を正常な状態に戻そうとして歩み寄った人々の思いを、
菅直人首相は踏みにじり、
御自分の権力維持の為に歪めてしまわれました。
その点を、どう御考えですか。?
国民も、そんなに馬鹿ではありません。
だから、SPEEDIの予測情報を隠蔽し、自分の福島第一原発視察を行うときの安全確認の為にだけ使ったというような、政党・政権・内閣の下では、「いつか、もしもの時には自分が、同じような目にあうかもしれないと思うから、民主党政権による原子力発電所再稼動には簡単に同意できない。」と思います。
●SPEEDの予測データも、
国民が自分の安全を守る為には使えなかった。
●オフサイトセンターにあったERSSでは、
ほんとうにデータがとれなかったのか。?
●DPS(事故状態判断支援システム)も、
APS(予測解析システム)も、ほんとうに機能しなかったのか。?
●初期対応の如何によって、
小規模の被害に抑えられた可能性はなかったのだろうか。?
●緊急時避難の、
プロセスと対応は適切なものであったのか。?
そういうことから、政府としての責任の所在を、
ひとつづつ検証して行くのが先決ですが、
現内閣総理大臣が指名する検証委員によって、
現内閣の責任問題を中立的に検証してゆくことなんてできるのでしょうか。?
-参考となるweb上の資料-
●全国知事会議で「原発」緊急提言
●東京電力福島原子力発電所における
事故調査・検証委員会の開催について
●2011.4.22経済産業委員会会議録
●日本における原子力防災
独立行政法人原子力安全基盤機構 防災支援部
●三菱重工技報-原子力防災支援システムの開発
●全国知事会議で「原発」緊急提言
●東京電力福島原子力発電所における
事故調査・検証委員会の開催について
●2011.4.22経済産業委員会会議録
●日本における原子力防災
独立行政法人原子力安全基盤機構 防災支援部
●三菱重工技報-原子力防災支援システムの開発
テクノロジーとしての原子力安全管理技術は、
日本の場合、かなり進んでいると思いますが、
しかし、その運用に“政治の判断や思惑”が介入したり、
電力会社側の判断や思惑が影響したりで、
問題は、・・・
「国民の安全を守る目的一点に、その能力が集約されないことです。」
民主党政権は、“原発の安全性確保を重視する首相の意向を踏まえ、第1次段階で停止中の原発の再稼働条件にするとともに、第2段階では運転中の原発を停止するかどうかも判断する目安になる。・・・との見解を示し、原発相は10日のフジテレビ番組で「テストの結果と再稼働が全く別だとは考えにくい。再稼働の条件になってくる」と表明した。”・・・とのことですが、
福島のケースでの、自らが行った避難体制の不手際、
救済措置の不手際については、どのように省みて、
「いったいどのような改善点があると認識したのでしょうか。」
エンジニアリング領域のストレステストは、
それ自体はいいことですが、・・・
今、国民が一番不安なのは、・・・。
民主党政権下では、緊急時マニュアルに盛り込まれていても、
法制度があったとしても、
「政治主導という独断によって、それらが生かされることはない。」
・・・という、政府に対する澱のような不信感が、
幾十にも重なっている点です。
責任の所在もハッキリせず、次々と打ち出される、
方向性の異なる方針や閣僚見解に、
振り回されて、国全体が疲れきっています。
結局、国民が一番不安なのは、
この支離滅裂な原発事故に対する対応を繰り返す民主党政権が、
自分の安全について重要なことを、
勝手に決めているという現実なのですが・・・。
「管直人首相、この点について、どう思われますか。?」
2011.07.07 参議院 予算委員会 片山さつき 1/3
2011.07.07 参議院 予算委員会 片山さつき 2/3
2011.07.07 参議院 予算委員会 片山さつき 3/3