ここ数日雨か、どんよりした曇り空で、山間部では、春らしいあったかな気分から一転して冬に逆戻りしたように寒く、ストーブの炎が恋しくなります。
ちょっと用事で川上の方に出かけたら、丁度地元の方々が茶摘みをなさっているところに通りかかったので、写真を撮らせて頂きました。
この辺りの茶摘みは、昔は田植えを終えて直ぐ直ぐに茶摘みにとりかかったそうで、丁度時期的に、田植えの期時と重なり、とても忙しかったそうです。
それに今はもう途絶えていますが、昔は養蚕も盛んな地域だったので、家によっては、田植えと、茶摘みと、春繭の作業が間を空けずにつづくことになり、その事を考えただけでもため息がでますね。
また、茶摘みには、伊勢や志摩の方から海女さんが、茶摘み娘として出稼ぎに来ていたそうで、"紺絣に赤い襷がけの茶摘み娘の艶やかな姿"のことを、つい昨日の事のように話される方もいらっしゃいますし、ロマンスが生まれ、結婚なさった方もいらっしゃると聞きますから、昔は山間部の集落の若い衆にとっては、茶摘みの時期が待ち遠しく感じられたのかも知れませんね。
この川上という地域は近世伊勢御師とも関係が深い川上茶というお茶で有名だった地域なのですが、高齢化や都市部へ転居した方も多くなり、放置されて荒れている茶畑も目につきます。
製茶工場も伊勢奥津と石名原にそれぞれ一軒づつ在るものの、昔に比べれば、茶業は寂れた様子です。
そんな隠された様々な出来事を秘めた茶畑は、年寄りだけで管理できる規模に縮小化され、、主に自家用目的で栽培されています。昔は自分の家で使うものは、家で蒸して揉んで、お茶にしていたそうですが、今では製茶工場に持って行って製茶してもらうそうです。
それにしても、今日は日中でも、着込んでも肌寒いぐらいなのに、そのような状態の中で茶摘みの皆さんは忙しそうに作業をされていました。「ご苦労様です。みなさん風邪などひかないようにして下さいね・・・。」


