ここ数年、アベノミクスによる経済効果として、株価は2万円台に回復し、また円高の是正に伴い大手~中堅の輸出企業を中心に業績回復が進んでいます。
これらを背景として金融機関の業績も一部では過去最高益を計上するなど全体としては好調な状況にあります。
但し、将来的に金融機関の経営は安泰とは言えない様です。
その背景としては主に下記が挙げられます。
①将来的な人口減少と企業数の減少
・人口減少 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、国内人口は2030年に1億1522万人、さらに2060年には8674万人まで減ると予測されています。
・企業数減少 日本は開業率も廃業率も5%前後で低いが、アメリカは開業率も廃業率も10%前後で高いとされています。今後、経営者の高齢化に伴う廃業等が進むことを考えると、金融機関にとっては融資先の減少につながる可能性が高いと言えます。
②取引先企業の海外進出
為替相場の変動やコスト面を鑑み、中小企業の
海外進出は今や一般的な流れになっています。
海外で融資取引を展開できるメガバンクや大手
地銀以外では、取引先のニーズに応えられず、
取引、融資の縮小が起こっています
③本業収益力の低下
・預貸率(集めた預金の内、融資に回す割合)の低下
企業による設備投資などの資金ニーズは依然低調であり、金融機関の預貸率は低迷しています。地方銀行は預金の7割、信用金庫などは5割程に留まっており、残りは国債などで運用しているのが実態です。
・預貸利ざや(貸出金利-預金金利)の縮小
金融機関の最大の収益源である預貸利ざやは、この10年間で3割も低下しています。10年前は1.8%程度でしたが、近年は1.3%に低下しています。つまり収益の根幹が大きく減少しているのです。
④競合金融機関との貸出競争激化
国内の金融機関の数(金融庁資料)は下記の通りであり、大都市圏など地域によっては過剰と言われています。加えて、地域金融機関による隣接地域や大都市圏での攻勢などもあり、低金利での貸出競争に拍車がかかっています。
(参考・金融機関数。金融庁HPより抜粋)
都市銀行 4行
地方銀行 64行
第二地方銀行 41行
信用金庫 267金庫
信用組合 154組合
これら以外にも、信託銀行、政府系金融
機関などがあります。
⑤新規参入業者の進出
・セブンやイオンなどの流通系、ネット関連企業など異業種からの参入組は、その取引利便性やコストの低さなどから年々規模を拡大しています。
・クラウドファンディングなど、新たな形態の資金調達方法も知名度を高めており、今後利用方法の容易性が高まると、事業規模が拡大する可能性は高いです。
上記のように、様々な外的要因があり、金融機関の将来的な収益環境は厳しくなることが想定されています。
直前期(2015年3月期)の金融機関の決算では、特に地方銀行において過去最高益の先が多くありましたが、実態は本業の収益力が低下する一方で、与信コスト(いずれ触れます)の減少や有価証券売買等で利益を上げていることが分かります。
こうした状況を踏まえ、金融庁は「事業性評価」に基づく融資等の推進や、地域金融機関の合併等を見据えた将来的なビジネスモデルの構築などを促しています。
実際にここ1年間で、関東では横浜銀行と東日本銀行が、そして九州では熊本銀行と鹿児島銀行が経営統合を発表しており、今後もこの流れは続くものと思われます。
こうした状況を踏まえると、中小企業にとっては取引金融機関の減少や経営方針の変更という、プラスとマイナス双方の影響があります。そしてこれらが今後の経営に大きなインパクトを与える可能性があるのです。
これらについては、今後本ブログにて継続的に触れたいと思います。