【銀行融資】バックスコンサルティングのブログ

【銀行融資】バックスコンサルティングのブログ

金融機関との取引を円滑に進める方法や金融行政などについて解説します

Amebaでブログを始めよう!
金融機関による国内貸出金利の低下が続いています。

 日本銀行の統計によると、銀行における国内貸出金全体の5割超は貸出金利1%未満となっており、またメガバンクでは0.5%以下の貸出金が毎年10兆円近く増加しているとのことです(参考:2015年8月7日ニッキン)

 この背景には、日本銀行による金融機関への資金供給(それを民間へ低利で貸出)や、金融機関同士の競争激化があり、今後も金融機関の貸出金利と利ざやは低下する見込みです。実際に、10年前と比べ、金融機関の預貸利ざやは3割も下落しています。

 また、中小零細企業を対象とする信用金庫は金利が少し高いイメージでしたが、こちらも2008年以降7年連続で金利が低下しており、2014年度はついに1.93%と、初めて2%を下回ったようです(同 ニッキン参照)

 その結果、地域金融機関では従来の法人主体の取引から、カードローンや住宅ローンなど個人取引を軸とする経営への転換を打ち出しているところも増えています。
 
著者は、中小企業の再生支援を中心に全国の金融機関と取引・情報交換を行っていますが、やはりこの1年間で金融機関の貸出スタンスは大きく変化したように感じます。

 特に、業績があまり良くない先、具体的には従来融資を受けることが少し難しかった債務者区分(後日解説します)「要注意先」に対する融資が積極推進に転じてきました。実際に著者のクライアントで「要注意先」「要管理先」の企業が融資を受けることができ、一息ついたケースも多くあります。

 こうした「要注意先」以下への融資を積極的に行っているという金融機関のディスクロージャー誌を見ると、融資量は着実に増加しています。また債務者区分に応じて相応の金利で対応していることから、預貸利ざや縮小による減収分をカバーしています。
 
 これら環境の変化は、中小企業の資金調達や銀行交渉においてチャンスと言えます。

 業績の良い企業にとっては金利引き下げ交渉などがスムーズにいく可能性が高くなり、また資金調達が困難であった先にとっては再度交渉する余地が高まったと言えます(但し、リスケ中や業績が著しく悪い先への対応はあまり変化がありません)。

 是非、こうした機会を捉えて財務内容の改善や新規調達を行うことで経営改善に繋げたいものですね。

 今後も金融機関の動向については随時お伝えしたいと思います。