過ぎ去りし日々 | りばぶろぐ~岩手県宮古市に住むりばの日常~

過ぎ去りし日々

先日、仙台に就職講習会に参加し、その合間に
昔の友人に会う機会があった。

過去に一緒に音楽づくりをしていた仲間の一人で
個人業で音楽を生業にして食っているプロ中のプロ。

そんな彼が、仙台で初心者向けのDTMセミナーをやっていると聞き
会うついでにそのセミナーに参加した。

コンピュータで音を作り上げていく過程を
わかりやすい切り口で解説し、なおかつ参加者の質問にも的確に答えていく。

なんだかレッスンというより、座談会のような雰囲気の
和気藹々とした感じ。
セミナー料金は、2時間で1000円・・・・!


セミナーのあと、友人とセミナーに参加された方と一緒に
ちゃっかりと飲み会参加。

焼肉屋だったが、私の食いしん坊を覚えており、一言。
「りばの前にはカルビは置くなよみんな~~」
ふふっ、こんなやりとり、全く変わってない。思わず笑みが溢れる。

震災の話や音楽の話などで盛り上がったあと、
セミナーの話題になった。

正直、セミナーを行ったところであまり儲けにはならないらしい。
しかし、破格といえば破格のセミナー料で
何故仙台の地でこのような活動をするのか・・・


若い人達がDTMをやりたいと言っているのだが、
なかなかその受け皿も教える人も居ない。
DTMは機材を買えばその日のうちに音がなるとか、そういうものではない。
少しでも、そんなハードルを下げるために
あと、若い音楽やりたい人、つまりは俺のライバルが、この先育つようにね。


そんな言葉を聞いた気がする。

思えば、自分が本格的にDTMを始め、
下手くそで才能無いながらCDまで出して業者にまで卸すところまでいったのは
この人の指導がきっかけだった。

若い人の間口を広げたいという思い。
それを仙台で行うことは厳しい事だというが
収入に跳ね返らなくても、それはそれでいいと言っていた。

音楽に対する姿勢、仕事に対する姿勢、
そして、後釜を作り、業界全体を発展させたいという熱い思いは
初めて会った時から変わっていなかった。と言うよりも、むしろその時のことを思い出した。


自分は震災以来、満足に音楽もできても居ない。
楽しむということすら出来ない。
音楽専用の椅子に座る度に、気持ちが悪くなる。

友人は、震災では自分よりも辛い境遇に立たされた(こんな事書くと甘やかすなと怒られそうだな・・・)。
そんな最中、自分の音楽を守り、そして人に伝えていく
その姿勢は、自分の目を見開かせてくれたように思う。

自分が音楽を出来ないのは、ただの言い訳だ!甘えなんだ!
そうではない、という人がいるかもしれないが、敢えて自分自身にそう言いたい・・・。


飲み会の帰り、セミナー参加の方としばらく帰り道が一緒なので
ちょっとだけ話しをした。
「俺、○○(友人)さんに合わなければ・・・音楽で一生話の合う人に会えなかった!
 シンセのこととか、打ち込みのこととか、死ぬまで自分の中だけで自己満足で終わってた!」


ああ、友人は素晴らしいことをしているんだ。
別れたあと、自然に涙がこぼれた。


仙台で奔走する友人の姿と私の姿。
会えば笑って話しができるが、歩む道はどんどんわかれている実感がある。

宮古という地で、私は何ができるのだろう。