エントリーをはじめてまだこんなに早い時期に、この人のソロ・アルバムについて書く予定ではなかったのだが、近頃聴いてあまりにも心が動いたのでこれは書いておかねばと思った。

ジョン・フルシアンテ=レッドホットチリペッパーズのギタリストでありスーパー・メロディ・メイカーであり、疑いなく天性のアーティストである。技術云々よりもまさに感性という才能が表面化した音を繰り出し、そしてステージ上では神がかりなくらい精神性に彩られた姿を体現するギタリストだと思う。よく《音楽に魂を捧げた男》などと評されているけれど、まさにその通りな気がする。彼の音を通して見せてもらう世界は、私の現実人生では多分一度も見ることはできないであろう、儚く荒涼としているけれどもそれはそれは美しい別世界だ。

2004年の夏から、ジョンは新たなソロ活動アルバムの連続リリース(ほぼ月1枚くらいのペース)を行い、この『CURTAINS』というアルバムががそのラストを締めくくる第6作目。アコースティック風な内容になっている。

とにかくメロディの良さが本当に際立って聴こえる。そして彼は歌うとまた味がある素敵なヴォーカルを披露する人だが、この連続リリースが始まってからは特にその歌声のよさと表現力にさらなる磨きがかかったと思うから、なお一層素晴らしいのだ。そしてギターのサウンドは言うまでも無く、全て彼ひとりでレコーディングしたという他の様々な楽器も、とにかく全ての一音一音が胸を締め付けつけるような、まさに音による語りかけなのである。まるで何もかも分かっているかのように、的確な場所に的確な音色があって、聴きだしたら、心の全てを支配されてしまった。大袈裟な話じゃなく、本当に私はこのアルバムを聴いてる34分弱の間、何か別の場所にいる気がして仕方なかった。怖いような悲しいような心地良いような、上手く言葉にできないのだが、何かを提示されているような、見せられているような感覚。それはジョンからの問いかけのような気もするし、私の中の潜在的な辛さような気もする。でも決して絶望の感覚ではなかった。救いをあたえてくれる、そう、ジョンの音楽によって救われる感覚だった。

そんな気持ちで何度もリピートしたあとで、ある時はじめてライナーを読んでみた。この作品向けの英文バイオグラフィーの中でのジョンの言葉というのが、とても胸に滲みた。「このレコードはとてもあたたかなアルバムだ。同時にとても悲しい作品だし、そこに幸福感、強さ、ユーモアといった要素もたっぷり追加されている。夜、部屋の灯りを暗くして、毛布をそばに引き寄せてこのレコードをターン・テーブルに乗せてほしい・・・そして、この音楽が生み出す心地よい空気分子の中に静かに身を横たえてみてはどうだろうか。」

ジョン、ありがとう。

posted by bunny17