手術後のオイラの体にはいろんな物が装着されていた。
左手には点滴のライン。
胸と右手には容態を見守るモニターのケーブル。
背中には脊椎麻酔のカテーテルが首までテープで止められて麻酔を送り出すポンプへ。
左の腹には単3電池くらいの太さのビニールのドレーンパイプ。
(けっこう固くて長い)
そしてお約束の尿道カテーテル。
しかも、両足には血行を良くするための電動エアポンプとコントローラー。
まぁ、脳内出血の時には両手首と両足首をベルトでベッドに固定されて動かすことが出来なかったから、それに比べると動ける方だけど、腹に五つも穴が開いてたから、全身麻酔が切れてからは少し体を動かすだけで激痛が走って満足に身動きもできない。
そんな姿で迎えた手術翌日の朝![]()
病室の扉を開けて

「おはようございまーす。さぁ立って体を動かしましょうー」
と二人の看護師がにこやかに入ってきた。
は?
何言ってんの?

両手はなんとか動かせるけれど、立ち上がるどころか足一本まともに動かせないし、少しでも腹に力が入るとハラワタをよじられるような痛みで泣きそうなのに。
もっとも、昨日の手術で既にハラワタは捩られてるんだけどさ。そのときは全身麻酔でしょうよ。今は麻酔入ってないでしょうよ。
「え、絶対無理。」
(ヾノ・∀・`) ムリムリ
そんなオイラの言葉は完全無視して、胸と右手のモニターケーブルと両足のエアマッサージ機を取り外すと
「はい起きて~。まずは立ちましょう~」
と二人がかりでオイラをベッドから引きずり出そうとする。
な、なにしやがんでぃ
こっちは昨日腹切ったばかりだぞ~
(;∀; ) や、やめて
涙の懇願を物ともせずに、とうとうオイラは引き起こされてしまった。
「今日のノルマはトイレに行くことです。頑張りましょう
」
え、えぇ~。トイレなんて何メートルも先じゃない。辿り着く前に前に息絶えちまうぜ。
(o;д;)o
「お、鬼ですか?」
「はい。私は鬼でーす」
全肯定かい
(*゚Д゚*)
「歩いてもらわないとねぇ、治りが遅いんですよ。
私たちが先生に怒られちゃうんですよぉ。
せっかく良い手術したのに何だってねぇ。
鬼になりますよぉ」
その後ベッドから引きずり出されて、介助され煽てられながらトイレに辿り着く。
「終わったらナースコール押してくださいねぇ」
手すりにすがって腹に力が入らないようにパジャマとパンツを下ろして便座に座る。
トイレのお供は点滴スタンド。
腹から出てるドレーンパイプや尿管カテーテルと尿バッグ。それに背骨に刺さった脛椎麻酔のパイプが一纏めにされてぶら下がっている。
もちろん点滴バッグからは腕の点滴ラインまでパイプが延びているんで、狭いトイレの個室の中ではうまく捌かないといろんなものが絡んでしまいそうだ。
苦労しながら何とか用を済ませて(って言ってもオシッコは膀胱から直接パイプで出されるしお腹に力が入らないから力むこともできなくて大の方も何も出ないんだけど)ナースコール。
「トイレ行けましたねぇ。スゴいスゴい。
これで午前中のノルマ達成です
」
え?
「午前中のノルマ」ってことは
午後のノルマが有るのか?
何そのブラック??
(T∀T)