そろそろ、来年度入学の子供たちの就学時健診の時期だ。
これは法律に定められているので、翌年度に入学を希望する子は、全員受ける「ことになっている」
対象の子の保護者宛に、各市区町村の教育委員会から通知が来ていることと思う。
まぁ、様々な理由や思想信条で受けない人もいるけど、だからと言って、入学させないと言うことはない。
でも、正直、受けてもらわないと、学校側としては非常に困ったりする。
だって、どんな子が入学してくるかって、この時くらいしか実際に確認することが出来ないから。
(幼稚園や保育園などとの協議をすることは多くなっているが、それでも、他所からの情報はどこまでも情報でしかない)
もっとも、秋に運動会をする学校では、就学時健康診断の第一次が実質的に、これだたりする。
なぜか?
就学時健康診断って、ただの健康診断ではない。
その場での育児相談や教育相談を行うこともあるし、何よりも、「この子が、この学校でやっていけるのか」を見極める目的があるから。
だから、運動会の未就学児演技(かけっことか)に呼ばれて、話も聞けない暴れまわるなんて子は、取り敢えずチェックの対象になる。
でも間違えないで欲しい。
決して、ふるい落とす為のテストをするわけではない。
これは、最初に言っておく。
批判も多いんで困るし、教員の中にも「差別だ」とか言って反対する人もいるけれど。
学校によっては、簡単な知能検査をすることもある。
「このお人形さんの中に、一人だけ他の子とちがうのがあります。それは、どのお人形さんかな?」
とか
「おんなじかたちを描いてみましょう」
なんて感じ。
言われた通り、いすに座れるか。指示通りに書けるか。始め・止めの指示が通るか。
やわらかいボールを使って、言われたように投げて見せるとかをやらせるとこともある。
聞いたことを理解できずに、動けない子や、全く別のことをする子もいるので、チェック。
いずれにしても、そのときの様子や、指示に従えるか、他の子とトラブルを起こさないかなどをチェックしているわけだ。
「あの子は眼が落ち着かないね」
「幼稚園から一緒にしないほうがいいって言ってたのは、この子とこの子だね」
そんなことが、マル秘の個人票に書かれて、学級編成の重要な参考資料になる。
子供だけじゃない。
子供をつれてきて、検査に回る親の様子も見ていたりする。
妙に厳しい親や、甘やかせている親。
虐待が疑われる親など。
(親が何か言ったときに、咄嗟に防御の姿勢をとる子なんかは、超要注意だ。
学校医の診断を受けるときに痣や傷がないかなどは、養護教諭が厳しくチェックする)
ところで、
検査の結果、「もしかしたら、普通学級では難しいかもしれない」と思える子もいる。
その場合は、校長などが、別室で個人的に話を聞いたり、テストをしたりする。
よく5年生の子供たち(新年度は6年生だから)が案内役として一人ひとりについていき、親は別室で待たせることがあるんだけど、別に、他の子と一緒に帰ってこないからって、過剰な心配をすることは無い。
みんなの中では萎縮して検査ができなくても、一対一だと普通にできる。なんてことも良くある話だ。
それでも、普通学級よりも特別に支援できる学級や学校を奨められたら、とりあえずは真剣に考えて欲しい
就学時健康診断の短い時間で判断なんかできるはずが無いと思うかもしれないけれど、そのように判断される「何か」がその子に有ったのだろうし、先にも書いたように、決して篩い分けをするための健康診断ではない。
ただ、その子が、より良い学校生活をスタートできるようにするための「助言」だ。
子供を中心にして、保護者も親も真剣に子供の将来を考えるチャンスになればいいなと、昔から思っている。