そこの学校では、夏休みに高原で林間学校を行っていた。
当然、担任だけでは手が足らないので、何人もが引率として付き添っていく。
その年、オイラも付き添いの一人で、林間学校に行った。
二泊三日の林間学校なんて、あっという間に過ぎてしまうんだけど、その分スケジュールが密になる。
一日目は、宿舎に着いたら班毎に割り振られた部屋に入り、避難路の確認とか、開校式とか、その後レクがあったり、食事、風呂などやたらと忙しい。
それでも、ある程度は早めに寝かさないと、翌日の行程に響いたりするので、引率者は廊下なんかに順番に陣取って、おしゃべりをやめない班や、他の部屋に脱走を試みる不届き者の取締りをしたりする。
その宿舎は、かなり古いつくりの建物で、出入り口は引き戸になっていたが、巡回の都合で戸は閉めずにカーテンだけを閉めるように決めてあった。
一々扉の開け閉めをすると、音がするし、隠れてこっそりお菓子なんか食べてる輩の摘発にも面倒だから。
布団は、ほとんど隙間なく、ぴったりと敷き詰められている。
オイラに監視の順番が回ってきたのは11時くらいかな?
廊下に一人、文庫本を持って座っていた。
「非常口」の明かりは消さないから、その明かりで本くらいは読める。
20分くらい経っただろうか。
女の子の一つの班が入っている部屋から叫び声が聞こえた。
何事かと部屋まで行ってみると、同じ部屋の子も起きて明かりをつけていた。
その中で、一人の子が半分泣きそうな表情で立っている。
「どうしたの?」
と尋ねると
「真っ黒い人が、横に寝てた」
なんだ、それ?
( ̄□ ̄;)
最初は、一緒に寝てた友達かと思ったけど、自分の横には誰も寝てなかったし、とにかく、黒い服の子なんかいなかったという。
小学生の女の子のパジャマだもんね。
「俺が廊下にいたから、それと勘違いしたんじゃないの?」
「そんな服じゃなかった。真っ黒だった」
間違いなく黒い人が、隣に寝てたって言うんだ。
オイラ着てたのは白のジャージの上下。
大体、隣に寝てたりしないし
( ̄▽+ ̄*)
「その人、どこに行ったの?」
「びっくりして声を出したら、ムクッておきて、部屋の外に出て行った」
(((( ;°Д°))))
え? 部屋の外の廊下には、ずっとオイラが座ってたから、誰かがどこかの部屋から出てきたら、すぐにわかるはず。
でも、誰も出てこなかった。
( ̄□ ̄;)!!
山だからなぁ。
宿舎に戻って休みたいって思った人が居たのかねぇ。
本人、絶対に寝ぼけたりしてないって言うし。


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