「伊織ちゃん、今日は楽しみだね。」
「そうね。二人で旅なんて初めてだもの。」

雲一つない晴れた空、旅をするには最適の日だ。
やよいと伊織はオフの日を利用して旅行する計画を立てていた。
少しでも会えたときはその時間を利用してまで、計画していたのだ。

「目的地まで結構時間かかるみたいね。」
「でも、伊織ちゃんと一緒ならあっという間についちゃうと思うよ。」

保護者なしでの旅にいささか不安は覚えるものの、不安より楽しみの方が大きい。
電車に長く乗るのは一人だと疲れてしまうかもしれない。
しかし、二人で乗れば話で盛り上がり景色を楽しむ。
そして、長時間停車する駅の弁当を購入して食べる。
楽しみ方は色々膨らむ。

「あ、電車動いたよ!」
「やよいったらはしゃいじゃって。」

そういう伊織もそわそわと落ち着かない様子だ。
とても微笑ましい光景である。
目的地に行くまで鈍行でゆっくり景色を楽しみながら普段の話題に花を咲かせるのだった。